05
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「おねーさん、どうしたの?」


うわナンパかこれ。
最悪だわーこんな時に。
いや、私もまだナンパされるのか。
これは感謝すべきなのか?


とりあえずシカトしとこうか。


俯いたまま携帯をいじっていると、また同じ言葉を言われた。

ようやく気づいた。声が幼い。


声がする方を見ると、メガネをかけた少年が立っていた。

少年だったか。すまない。


「君迷子?迷子センターついて行くよ?」

「僕の心配より、自分の心配した方がいいんじゃない?足、怪我してるんでしょ?大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ!ありがとうね」

「僕絆創膏持ってるから、貼ってあげるね。」



あらこの子気が利く。
私が持っていなかった絆創膏をこんな少年が持ってるなんて。

しかも貼ってくれている。


女子力高いというか紳士というか。

でも足の指の間に絆創膏貼られるとか今考えると凄く恥ずかしい……。


「はい!これでもう大丈夫!」

「ありがとうね少年!おねーさん何か買ってあげたい気分だからついておいで。怪しいものではございませんので通報はやめてね」

「あはは……僕何もいらないよ?」

「いいからいいから!りんご飴食べる?」

「えーっと……じゃあ食べるー!」

「私も食べたいし、すぐそこだし、行こうか!」


少年と手を繋ぎ、近くの出店に向かった


少年が貼ってくれた絆創膏がクッションになり、だいぶ痛くない。

良かったー。でもこんな少年に助けられるなんて不覚だな。


「おねーさん1人で来たの?」

「いや、友達とはぐれちゃって……」

「迷子なのはおねーさんの方じゃない…」


うっ。そうだった……
この子明らかに呆れた顔してる…!
ぐぅ……!



近くの出店でりんご飴を買って2人で食べてると、携帯の振動に気づいた。


「あ、電話だ」

「お友達から?」

「うん!もしもし?黒羽君?」

『おめー何やってんだよ!花火始まっちまうぞ?!どこにいんだ?!』

「息子とりんご飴食べてるよ」

「えっ。息子……」

『は?!息子?!まぁいい、ちょっとそこにいろ!フルーツ飴の出店の近くだろ?!』

「うん」

『動くなよ?!じゃあな!』

「はーい」


黒羽君優しいなぁ。
迎えに来てくれるんだ。


「お迎えに来てくれるんだね」

「うん。ありがとうね息子よ」

「僕息子じゃないよ……」


2人でヘラヘラ笑っていると、少年がやべって顔で奥の方を見出した。

目先には女の人。
お姉ちゃんかな?



「あ!いたーコナン君!!どこ行ってたのよもう!」

「ごめんなさい蘭ねぇちゃん」


この少年、コナン君っていうんだ。
珍しい名前。


「すみませんこの子が……」

「あっ、いえいえ!じゃあね、少年!」

「うん!おねーさん、もう迷子にならないようにねー!」


恥ずかしいからでかい声で言うな。

苦笑いで手をひらひら振っていると、ちょうどいいタイミングで黒羽君が見えた。




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