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「快斗ー!名前ー!」

……ハッ!!


「やばい!寝てた!」

「俺も〜……」


目が覚めると、目の前には仁王立ちして、顔をしかめている青子がいた。



「もう!!いつまで寝てるの?!もう放課後だよ!」

「放課後?!」

「結局ずっとサボっちまったなー」



黒羽君なんの悪びれもなく……


あくびをしながら伸びをする所を見ると、全く反省してないね?




「ほら、3人で花火大会行くんでしょ!早く行こう!」


あれ?

「青子、なんで知ってるの?私も花火大会行くって」

「昨日俺らで話してたんだよ。名前のチケットも買って、誘おうぜって」


青子……


「ありがとう青子!!持つべきものは友達だよ〜!!」

「いーのいーのっ!あ、浴衣着て行こうよーっ!」

「いーねーっ!!家にあるの久々に出すなぁ♪」


青子の笑顔は癒される♪


「おめーら浴衣着てくんのか?ははっ。楽しみだな!」

「楽しみー♪ね、名前!」

「あ、う、うん……」


楽しみかぁ……。
黒羽君にとっては、ね。

私も楽しみだけど、ほんとの恋の終わりでもある。
花火を見て、涙を流しながら終わるんだろうな。



「名前ーっ!ほら行くよー?」


気がつけば、青子と黒羽君はドアのところにいた。


楽しみなんだか怖いんだか、なんかモヤモヤするなぁ。


「今行くーっ!」











ーーーー

「青子ー!黒羽君ー!お待たせ!」


花火大会の会場は人が多く、公園も物凄く広い為迷いながらなんとか2人の元に着いた。


青子はブルーの浴衣を着て、凄く清楚で可愛い。
黒羽君は甚平だ。かっこいいな。


「こっちこっちー!名前はピンクの浴衣かぁ♪可愛い!」

「似合ってんじゃん」

「あ、ありがとう。2人も似合ってるよ」

「やったー!ありがとう!」

「ほら、んな事いいから行くぞ」


少し前を歩く2人はなんだかカップルみたいだ。似合うなぁ。

こんなの見たら、大好きなんて言えないからちょーどいいや。

それより履き慣れない下駄が痛い。

足を確認すれば、指の間が赤くなっている。

これはあとで水膨れになるやつだな。


気休め程度に鼻緒をいじり、前を向くと遠くにいる2人。


「あ!青子!黒羽君!待って!」


この声は遠い2人には聞こえず、人ごみに紛れ姿は見えなくなってしまった。


「えー嘘でしょ。電話電話……」


2人に電話するもどちらも出ず。

一生懸命歩いたがとうとう足の指の間から血が出てしまった。


痛いし迷子だし最悪……


近くにあった大きな岩に腰掛け、ため息を漏らす。

このまま花火の時間になったりしてー


どーせ泣きながら見るなら1人でもいいや。こそこそ泣いてやる……!




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