04
「快斗ー!名前ー!」
……ハッ!!
「やばい!寝てた!」
「俺も〜……」
目が覚めると、目の前には仁王立ちして、顔をしかめている青子がいた。
「もう!!いつまで寝てるの?!もう放課後だよ!」
「放課後?!」
「結局ずっとサボっちまったなー」
黒羽君なんの悪びれもなく……
あくびをしながら伸びをする所を見ると、全く反省してないね?
「ほら、3人で花火大会行くんでしょ!早く行こう!」
あれ?
「青子、なんで知ってるの?私も花火大会行くって」
「昨日俺らで話してたんだよ。名前のチケットも買って、誘おうぜって」
青子……
「ありがとう青子!!持つべきものは友達だよ〜!!」
「いーのいーのっ!あ、浴衣着て行こうよーっ!」
「いーねーっ!!家にあるの久々に出すなぁ♪」
青子の笑顔は癒される♪
「おめーら浴衣着てくんのか?ははっ。楽しみだな!」
「楽しみー♪ね、名前!」
「あ、う、うん……」
楽しみかぁ……。
黒羽君にとっては、ね。
私も楽しみだけど、ほんとの恋の終わりでもある。
花火を見て、涙を流しながら終わるんだろうな。
「名前ーっ!ほら行くよー?」
気がつけば、青子と黒羽君はドアのところにいた。
楽しみなんだか怖いんだか、なんかモヤモヤするなぁ。
「今行くーっ!」
ーーーー
「青子ー!黒羽君ー!お待たせ!」
花火大会の会場は人が多く、公園も物凄く広い為迷いながらなんとか2人の元に着いた。
青子はブルーの浴衣を着て、凄く清楚で可愛い。
黒羽君は甚平だ。かっこいいな。
「こっちこっちー!名前はピンクの浴衣かぁ♪可愛い!」
「似合ってんじゃん」
「あ、ありがとう。2人も似合ってるよ」
「やったー!ありがとう!」
「ほら、んな事いいから行くぞ」
少し前を歩く2人はなんだかカップルみたいだ。似合うなぁ。
こんなの見たら、大好きなんて言えないからちょーどいいや。
それより履き慣れない下駄が痛い。
足を確認すれば、指の間が赤くなっている。
これはあとで水膨れになるやつだな。
気休め程度に鼻緒をいじり、前を向くと遠くにいる2人。
「あ!青子!黒羽君!待って!」
この声は遠い2人には聞こえず、人ごみに紛れ姿は見えなくなってしまった。
「えー嘘でしょ。電話電話……」
2人に電話するもどちらも出ず。
一生懸命歩いたがとうとう足の指の間から血が出てしまった。
痛いし迷子だし最悪……
近くにあった大きな岩に腰掛け、ため息を漏らす。
このまま花火の時間になったりしてー
どーせ泣きながら見るなら1人でもいいや。こそこそ泣いてやる……!
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