03
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「どこ行くの?」

「黙ってろ」



え?怒ってらっしゃる?
そんなとこも素敵!


着いた先は屋上。黒羽君が鍵をカチャカチャしていたからきっと誰も入ってはいけないとこなのだろう。


そのまま貯水タンクに登ると、座れと言われた。


「つ、ついに私を突き落とすのですか…」

「バーローなわけねーだろ」

「じゃ……じゃあ告白?!」

「それも違う」


あっさり否定されてしまった。
まぁ、冗談はここまでにして、ほんとにどうしたのか知りたい。


「じゃあ、どうしたの?」

「胸ポッケ」

「え?」

「見てみ」



制服の胸ポッケを見ると、花火大会のチケットが一枚入っていた。


あれ?青子に一枚しか渡してなかったかな?


「私青子にちゃんと2枚渡した気が……」

「バーロー。ほんとあほだな。おめーの分だよ」

「え?」

「俺らに気を使うな。おめーも行きたかったんだろ?」


黒羽君が……私の為に?
嬉しいけど……邪魔にならないかな。


「行きたかったけど……」

「もう買っちまったんだし、行こうぜ?」


にしし、と笑う彼に、より一層引き込まれた。
私は本当に黒羽君が好きだ。


「黒羽君…大好きっ!!」

「だぁーきつくなって!あとその事なんだけどよ、今日で終わりにしねーか。その一方通行の恋」


………え?


「ど……どういうこと……?」

「そのまんまだよ」


私の分のチケットを買って来てくれたことによって、少し可能性があると思ってた

でもそれは、黒羽君にとって今日で終わりという幕締めのチケット。

“その一方通行の恋”

一方通行と口にしたと言う事は、黒羽君は私を好きじゃないって意味だよね。


そっか、私が想像した以上に迷惑だったんだね。

私が言い続けてる限り、青子と付き合いにくいしね。

ごめん、黒羽君。


「そうだね……今日で最後だ!」

「おう!今日の花火大会、思い出にしようぜ!」


先ほどと変わらない笑顔の黒羽君はその場に寝そべって、少しすると寝息をたてた


「寝ちゃった……」


今日で最後か。
遠くの席からもう充分過ぎるくらい見た寝顔。まだまだ飽き足らないよ。

寝顔くらいは、これからも見せてね。


「大好きだよ、黒羽君」


頬に伝う涙を拭って、私も寝そべった。
隣には黒羽君。
2人を包む空は、暖かく心地よかった。

眠くなってきた……
あ……
お弁当……
途中までしか食べてない……や……




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