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「名前?どうしたの?」

「んな真剣な顔してどーしたんだ?」


よし、決めた!


「あー。んっとね、花火大会のチケット2枚貰ったの、母から。青子と黒羽君、行ってきなよ!」


私の一方通行のせいでいつも2人の邪魔してるしね。

私が行かなければ、お金も掛からないし


「えー青子はいいよー」

「青子と名前で行ってこいよ」

「えー快斗と名前で行ってきなよー」

「えー青子と快斗で行ってきなよー」

「「「………」」」


うわ何この譲り合い
めんどくさい空気を作ってしまった。


「いいって私興味ないし!明日二人とも空いてるんでしょ?」

「「空いてるけどさ……」」

「なんか貰っとくって答えちゃったら行かないともったいないし?行ってきて!」


ちょっとだけ圧をかけた。
だってめんどくさいんだもん。
まぁその空気を作ったのは私だけど。


「……わかった…動画撮ってくるからね!」

「ありがとう!私は動画で充分だよ」

「………」


さて、帰りますか。


「じゃあ帰るねー!あ、黒羽君!」

「ん?」

「愛してるよん愛しの黒羽君」



語尾にハートをつけて、投げキッスをプレゼントしてあげた。

うぇ。って舌出してたけどいつもの事だから気にしない。


「あ、おい名前!」

「ん?」

「花火大会のお礼」


立ち去ろうとしていた私の元に来て、パフェ代をくれた黒羽君。

あぁもうこういうのイケメンだよね、キュンと来ちゃう!


「いーの?!ありがとう!チケット明日学校で渡すね!」

「おう!」


こういうのは遠慮せず貰いますとも。
金にけちなわけじゃないんだよ。
ただ、ここで女の子らしくめんどくさい遠慮をするのがめんどくさい。


「名前ありがとう!また明日ね!」

「じゃあねー青子!」

「明日な」

「うん!ばいばい黒羽君」



お会計してると、青子達から“明日さーーー”と楽しそうに会話をしているのが聞こえる。

いい事だと思いつつ、少し心にチクリと来る。きっと周りから見てもあの2人はいいカップルなんだろーな。

付き合ってないけど。





ーーーー


「おはよー名前!」

「おはよ、青子!あれ、私の愛しの黒羽君は?」

「名前の愛しの黒羽君はサボりだよ」

「えぇ?!花火大会ちゃんと行くんでしょーね?!」

「青子貰っといてって言われたから行くとは思うけど……」

「あ、じゃあ渡しておくね!」


サイフからチケットを取り出して青子に渡すと、すごく嬉しそうにお礼を言ってくれた。


「楽しんできてねー!」

「ありがとう!」


あー黒羽君……顔が見たかったよ。
明日な。って言ってくれたじゃないか。


そのまま恋する乙女の様にため息をつき、色々な呪文を聞き続け昼休み。


「はよ、名前、青子」


黒羽君ー!!
来たぁあああっ!!


「もう昼だよ」

「黒羽君ーっ!!私に会いに来てくれたんだね?!そうだよね?!あーもー大好きだよ黒羽君のそういうところ!」



もー嬉しくってぎゅーしちゃう!


「だぁーっ!離れろ!!暑苦しいな!」

「もー黒羽君ったらおちゃめさん♪」

「馬鹿なこと言ってんのはこの口か〜?あ〜?」

「いひゃいれふー!ごへんらはい」

「はぁ。ったく……」

「あーもうほっぺ洗えなーい!」


頬に伝わるこのジンジンした熱は黒羽君からの愛だね!

もー照れ屋さんだなー!


「……来い!」

「わっ?!」


いきなり腕を掴まれ教室のドアの方へ。
青子を見ると笑顔でひらひら手を振っていた。


私はどこに連れて行かれるの?!




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