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「はいプリント」

「お、さすが早いな黒羽は。ちゃんと学校来てくれたらこうして呼び出す事もないのになー」

「俺も忙しーの!」

「高校生は高校に来るから高校生なんだぞ。お前も高校生ならちゃんと来い」

「へいへい」


放課後呼び出しをくらってプリントを今この職員室で俺の前でやりなさいと先生に言われ、意地になって頭をフル回転させた

さすがの俺はすぐに終わらせて職員室を出ることができたが、フル回転させすぎて疲れた。

あーだるかった。


「……ん?」


階段を降りようと自分の教室の前を通ると、俺の隣の席に誰か座っている。
というか、机に突っ伏している。

そういえば今日転校生来てたんだっけ?
俺の隣は空席のはず……
てことは、あいつかな。転校生。


教室に入り一声掛けるも反応なし。
こいつ死んでんじゃねーの?

少しの間見てると、肩が規則正しく上下に動いていた。うん、息はしてんな。


もぞりと肩を微かに寄せている。

さみーんだろうな。


学ランの上を背中にかけてやり、自分の席に座った。
この距離だと少し顔が見える。

腕と髪の隙間から見えるその顔は夕日に照らされていて、思わず息を飲んだ。


長くてきれいな睫毛



……しか見えねーけど。
口元は腕で隠されていて見えない。

これで出っ歯とかタラコ唇だったらうけるよな。


いやそれはあり得ねーなとか思うのは、この横顔が綺麗だから決めつけてしまっているのだろうか。


しばらくその寝顔を堪能していたが、こいつが起きた時に気持ち悪がられそうで起こす事にした。


最初から直接触れるのは気が引ける。
まずは……



窓から身を乗り出して、近くに咲いてるサクラの木の先を少しだけ折った。

ほんとはいけねーんだけど……っと。



耳の少し上にすっとサクラを刺して、髪の毛を耳にかけたーーー。














なんだか耳の上がこちょばしくなって目が覚めた。


視界の左端にピンクが映る。

そしてその奥には白いシャツ。

……白いシャツ?!


ガバッと体を起こすと、夕日を背に片肘ついた黒羽君がニコリと笑っていた。


「お目覚めですか?眠り姫♪」

「くくく黒羽君っ?!」


つ、ついに……!!
ついに黒羽君登場だあああっ!!


それと同時に、何かが机と床に落ちた。


「……サクラと学ラン……?」

「あーあーせっかくつけてやったのに。青子から聞いてると思うけど……俺は黒羽快斗ってんだ!よろしくな!」


机に落ちたサクラを私に差し出して、ウインクしながら自己紹介をしてくれた。

こんなキザなことされたことないから、なんてゆーか……嬉し恥ずかし……。


「あ、ありがとう……。私は名字名前。隣の席になって……。よろしくね」

「おう!よろしくな名前!」


しょっぱなから寝顔を見られるなんて私とした事が……くそぉ。

恥ずかしい。


それを隠すように目を逸らして床に落ちた学ランを拾った。


「かけてくれてたんだね、ありがとう」

「いーえどういたしまして。ところで、なんでこんなとこで寝てたんだ?」

「疲れちゃって……ははっ……」

「そうだったのか。じゃあ早く帰らなきゃな」


席を立ち上がった黒羽君を見て、まだ話してたいと思ってしまった。


「待って……!まだ学校のこと知らなくて……案内とか、して欲しいんだけど…」

「あ、まぁいいけど……疲れてるのに大丈夫か?」

「大丈夫!」

「こんな疲れさせといてまだ案内してもらってなかったとか……おめーも大変だったな。行こうぜ!」

「そんな…大丈夫だよ!ありがとう!」


やった!
まだ一緒にいれ……?!


「ぎゃっ!!」


嬉しくって先に教室を出ようとした黒羽君を追えば、床に何故か転がっていたペンを踏んで後ろに倒れてしまった。


「大丈夫か?!」

「いっててて……」

「ほーう……白、ね」

「え?白?」


差し出してくれた手を取って立ち上がり、なるほどと呟く彼に首を傾げた。


「学校案内の報酬には充分だな」

「え、だから何の事?」

「初お披露目か?まぁ、いろんな所でお披露目してたら引くけど。下着。」

「?!」


下着?!
そうだ……!

後ろにコケたから……!


「へへへ変態っ!!わざわざ私からお披露目なんてしないわっ!!」

「わぁーってるって!白は好きだぜ?」

「やめてよー!!」


変態ぶりも健在ですね、うん。




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