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名前がキッチンに行ってる間、次の宝石展示会の管理システムに入ろうとパソコンをいじる……が、なかなか入れねぇ。

先に予告状を出して警戒されてるからか……?
くそ、調べてから予告状出せば良かった

なんて悩んでると、奥からじーちゃんがフラフラと戻ってきた。

どうしたんだ……?!



「どうしたじーちゃん!なんでんなよろけてんだよ?!」

「快斗……ぼっちゃま……」

「どうした?!」

「寺井には……手に負えません……」

「え……?」


何がだ?と考えていると、血相を変えて両肩に手を置き揺すってきた。


「じじじじーちゃん?!頭!脳みそが……っ!!」

「名前さんは素敵です!」

「は?」


じーちゃん……どうした?


「素敵です……素敵ですが……キッチンも素敵です……」

「………」


やっと言っている事が理解出来たと同時に、血の気が引いた。
あいつなにやらかした?!


急いでキッチンを覗いて愕然とする。

どうやったらこんな……はぁ……


「あれ?黒羽君待ちきれなくて見に来てくれたのっ?もう出来たから運ぶよ!」


ニコリと笑って振り返った名前。頬と手には赤い……血?!


「名前!大丈夫か?!」

「え?」

「顔と手に血が……!!」

「……黒羽君、舐めて」

「はっ?!」



ななな何言ってやがんだ?!
いきなり?!
血を舐めるのが嫌とかそんなんじゃない
指とほっぺ舐めろって……!!


「顔真っ赤だよ黒羽君」

「う、うるせー!見んじゃねぇ!」

「これケチャップだよ。ふふ。舐めてあーケチャップかーって騙そうと思ったのに。失敗したー」

「……っ……」


こいつ……騙すとこおかしいんだよバーローっ!!
ある意味騙されたけど……けど!!


「こんのバカっ!!」

「いてっ。なんで殴るのさぁ……」


ドキッとした。
なんて言わねーよ、ぜってー。


「はぁ……ほんと素敵なキッチンだよな…」

「ねー!私の家のキッチンもこんな広いキッチンだったらいーのにー」

「………」


わかってねぇなこいつ。


「おめーはこんなぐちゃぐちゃなキッチンが好きなのか?おめーならすぐにできんだろ」

「あぁ……そういう意味か……ごめん、後でちゃんと片付けるからね!」


ったくほんと鈍いなこいつ。

チラリと3つのオムライスを見ると、俺のだと思われるオムライスを発見。

ケチャップで、「黒羽君大好き」と書かれていた。へにゃへにゃな文字で、垂れてきてるのか血で書いた様なこえー字になってるけど、ぐちゃぐちゃなキッチンにしたとは思えないほど美味そうだ。


作り方がすげーだけで、案外上手なのかも。

なんか一生懸命さが出てて、すげー可愛く思った。なんて口に出さねーけど。
……ん?



「「!!」」


腹の虫が鳴る音。
確かに腹が減ってる。
でも俺じゃねぇ……ってことは……


「おめーか!!」

「じ、自分の作ったご飯見てお腹すいちゃって……えへへ……」

「はぁ……ほら、俺も運んでやるから早く食おうぜ?後で一緒に片付けような。おめー1人だと余計ぐちゃぐちゃにさせられそうだし」


“ありがとう!”とヘラヘラ笑う名前に、俺は甘いなとつくづく感じた。




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