03
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「なぁ名前」

「ん?なにっ……ぎゃぁっ!」


助手になるか?って言おうと思った瞬間、あいつは目の前から消えた。足だけを残して。でもそんなホラー映画の様な怖さが含まれているものではない。
目の前から消えた、というか、上半身だけを仰け反らせて落ちた。
下着丸見え。


「こんな時にブリッジか。体力作りの努力はアスリート並だな」

「ちょっと頭に血上ってるから!!辛い!!助けてよ!!」


顔を真っ赤にして手をぷるぷるさせている。滑稽だな。


「今日の下着は黒かぁ。おめーがもっと大人っぽかったらそそられてんだけど。残念」

「ちょっと見ないでよ!助けて!」

「なんだ見せてんじゃねーの?ははっ」


ほんとこいつはいじるのが楽しい。
でもさすがに辛そうだから手を貸した。


「ほらよ。掴まれ」

「助けるの遅いよー!あ、私の下着ずっと見てたかったんでしょー?」


……むかつく。
途中まで起こしたところで手を掴んだまま少し押し戻してやった。


「きゃー!!嘘嘘!!この体制辛い〜!ごめんなさい!」

「おめーの下着なんて興味ねーの。わかったか?」

「ふっ腹筋がぁああっ!っあーもう無理!!」

「えっ?ぅわっ?!」


開いた片手で俺の腕を掴むと、力が抜けたのか俺を引っ張ってそのまま後ろへ倒れた名前。この一瞬の状況を予想打にしているはずもない俺は、名前を押し倒すような状態で2人倒れた。


「ってぇっ……!」


その上背中にイスから攻撃を受けるとは大した巻き込まれ様だ。
いやでもこれは俺がわりーのか?


「大丈夫?!」

「あぁ。わりー名前。怪我ねーか?」

「だ、だだだ大丈夫……っ」


なんで気まずそうに目を逸らすのか。
それは言わずもがなこの状況のせいだ。
今更恥ずかしくなってじーちゃんを呼ぶも聞こえていないのか反応がない。

椅子が背中に乗っかってるうえに名前を潰さない様腕を立てているからきつい。
なんの拷問だこれ!!


「わり、イスおもてぇしなんかイスの脚に引っかかってねぇ?」


背中でイスを押そうとするも上がらない為、何がどうなってるのかわからないから下手に動けない。
くそっ、これじゃあ俺が名前を襲ってるみてーじゃねえか…!


「黒羽君邪魔で見えない……!」

「邪魔って言うな!」

「……あ。黒羽君、私の足の間に入って」

「はっ?!」

「いーから」


俺の右足は既に名前の足の間に入っている。左足も入れろってか。
どうすることも出来ない俺は名前の言うことに素直に従い、足の間に入った。




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