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「これはUSBメモリー。宝石展示会のな」

「なんだー……なんかスティック棒みたいなやつかと思ったー」


スティックと棒は同じ意味だろドジ。
どう見たら菓子に見えんだよ。

……あーこれ見て思い出した。
データを移したのはいいものの、セキュリティに入れねーんだ。


「あーくそー」

「どうしたの?」


入れ直したココアを出してくれた名前は首を傾げる。
別にこいつになら話してもいーし、隠す必要もねーな。



「セキュリティ固すぎて入れねーの」

「へー……」


言いながらパソコンを開いた画面を名前が覗き込む。
後頭部邪魔なんだけど。

ちなみにじーちゃんはキッチンの片付けをしているらしい。カチャカチャと虚しい音が聞こえる。相変わらずこいつはハチャメチャにしてるのか。
名前にここの場所を教えなきゃ良かったと後悔するも今更だ。


大きく出るため息は更に大きくなる。原因は画面に出るerrorの文字。
やっぱだめかー。


「あーまじで予告状出す前に調べときゃ良かったー」

「先に出したからセキュリティ頑丈になっちゃったの?」

「かもしんねー」


あーあ。なんて言ってると、急に俺のイスを横取りしてきた。

なんだなんだ、落としてーのか俺を!


「貸して!!」

「なっ……なんだよ?」


うわ、近い!
密着してるし!
こいつなんか喜んでるし!


「私がやる!」

「は?無理だって!!つーか俺4分の1くらいしか座ってねーんだけど?!」

「辛辣!!そんなお尻でかくないよ失礼な!桃尻だよ私は!」

「………」


誰もでかいなんて言ってねーけど。
てかよく自分で桃尻とか言ったな。
いらねー情報だ。

なんて思うもまぁ俺も思春期な訳で。
想像してしまうわけですよ。

名前の尻ねぇ……ふーん。
ちょっと触って……


「できた!!」

「えっ?!」


伸ばそうとしていた手を急いで引っ込めて画面を見た。

あぶねーあぶねー性犯罪犯すところだったぜ……って……!!



「うわまじで解除出来てんじゃん!!」

「惚れ直した?へへ」

「おう!……って惚れ直してねーし惚れてもいねーよ」

「うわ薄情……」



どさくさに紛れて何言わせようとしてんだよ。うんって言っちまったけど。

てかこいつ……どうやってセキュリティ解除したんだ?


「おめーどうやった?」

「少し試行錯誤したからわかんないけど、昔からハッキングだけが取り柄でした!」

「ハッキングだけが取り柄っておめーどうやって生きてきたんだ……」



一気に怪しい奴に降格だぞこいつ。

ご想像にお任せしますなんて笑ってるけど……あながち助手にする手も間違えではねーな……




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