02
「これはUSBメモリー。宝石展示会のな」
「なんだー……なんかスティック棒みたいなやつかと思ったー」
スティックと棒は同じ意味だろドジ。
どう見たら菓子に見えんだよ。
……あーこれ見て思い出した。
データを移したのはいいものの、セキュリティに入れねーんだ。
「あーくそー」
「どうしたの?」
入れ直したココアを出してくれた名前は首を傾げる。
別にこいつになら話してもいーし、隠す必要もねーな。
「セキュリティ固すぎて入れねーの」
「へー……」
言いながらパソコンを開いた画面を名前が覗き込む。
後頭部邪魔なんだけど。
ちなみにじーちゃんはキッチンの片付けをしているらしい。カチャカチャと虚しい音が聞こえる。相変わらずこいつはハチャメチャにしてるのか。
名前にここの場所を教えなきゃ良かったと後悔するも今更だ。
大きく出るため息は更に大きくなる。原因は画面に出るerrorの文字。
やっぱだめかー。
「あーまじで予告状出す前に調べときゃ良かったー」
「先に出したからセキュリティ頑丈になっちゃったの?」
「かもしんねー」
あーあ。なんて言ってると、急に俺のイスを横取りしてきた。
なんだなんだ、落としてーのか俺を!
「貸して!!」
「なっ……なんだよ?」
うわ、近い!
密着してるし!
こいつなんか喜んでるし!
「私がやる!」
「は?無理だって!!つーか俺4分の1くらいしか座ってねーんだけど?!」
「辛辣!!そんなお尻でかくないよ失礼な!桃尻だよ私は!」
「………」
誰もでかいなんて言ってねーけど。
てかよく自分で桃尻とか言ったな。
いらねー情報だ。
なんて思うもまぁ俺も思春期な訳で。
想像してしまうわけですよ。
名前の尻ねぇ……ふーん。
ちょっと触って……
「できた!!」
「えっ?!」
伸ばそうとしていた手を急いで引っ込めて画面を見た。
あぶねーあぶねー性犯罪犯すところだったぜ……って……!!
「うわまじで解除出来てんじゃん!!」
「惚れ直した?へへ」
「おう!……って惚れ直してねーし惚れてもいねーよ」
「うわ薄情……」
どさくさに紛れて何言わせようとしてんだよ。うんって言っちまったけど。
てかこいつ……どうやってセキュリティ解除したんだ?
「おめーどうやった?」
「少し試行錯誤したからわかんないけど、昔からハッキングだけが取り柄でした!」
「ハッキングだけが取り柄っておめーどうやって生きてきたんだ……」
一気に怪しい奴に降格だぞこいつ。
ご想像にお任せしますなんて笑ってるけど……あながち助手にする手も間違えではねーな……
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