03
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「ごめんごめん遅くなったー!」

「園子ったらトイレでまでキッドの事熱弁するんだもの」


2人とも……!!
ナイスタイミング!!
神は舞い降りた〜…!!


「おかえりぃいいいっ!!」


待ってたよと抱きつくと、そんなにトイレ我慢してたのかと若干引かれた気がする

でも今は戻ってきてくれたこのタイミングに感謝!!


「蘭ねぇちゃん、僕もトイレ行きたくなってきたから名前お姉ちゃんと行ってくるね!」



なにっ?!
しつこいぞ探偵!



「私尿意引っ込んだからいいやー……」

「だめよー!行って来なよ!」

「体に悪いよ、名前ちゃん」


うぅっ……
コナン君といた方が体に悪い……

どうしようと頭をフル回転させていると、向かいに座っていたコナン君は口元を蘭ちゃん達から見えないように手で隠し、口パクしてきた。


“それとも後日たっぷり話し合うか?”


「ひっ……!」


怖い!!もう小学生の喋り方じゃないよ!!


そんな声出すくらい我慢してるなら行ってきなさいと園子ちゃんから小さな喝をくらった。
さっさと個室入ってさっさと戻って来ようと決意し、立ち上がる。

コナン君は蘭ちゃん達にかわいこぶって行ってくるね!と手を振った後で私の横に並んだ。


「……」

「……」


トイレに向かう間の沈黙が余計に怖い。
でもこのまま個室入ればなんとか言い訳を考える余裕が出来る。

そう思って女の子マークの方へ入ろうとした瞬間、腕を思いっきり引っ張られ車椅子専用の広いトイレへ投げ入れられた。


「な、なに!!」


カチャンと鍵の閉まった音が聞こえた瞬間、終わったと思った。


「ここは車椅子専用だからだめだよ…!」

「子供用のもあんだろ」


…ほんとだ。
でも君もうままにおトイレ見てもらう歳じゃないよね?


「……なぁ。おめーは何を知ってる?」


ギロりと睨まれ足が竦む。
何故私がこんな目に……。
これだから隠し事はめんどくさくて嫌だ

信じて貰えるかわからないけど、全部話してしまおう。



「……あのね、」




キッドの事や黒羽君の事を全て隠し、それ以外起こった事を全て話した。

最初はポカンとしていた様子だったが、細かく話していくうちに、なるほどな。という相槌が増えた。

信じてくれたかな……?


「つまり、俺が工藤新一だって最初から知ってたってわけだな?」

「そうです……」

「俺以外に口外すんじゃねーぞ?」

「わかってるよ……」


黒羽君にも同じ事言われた……。


「ほんとの事なんだな?異世界から来たっつーのは」

「私が黒の組織に見える?!」

「見えねーな。どう見ても」

「最後の一言が余計だがそこは聞かなかった事にしておこう」

「まぁ、とりあえず出んぞ。あんまここに二人いても勘違いされる」


そんなに冷たく言って鍵開けてるけどここに連れ出したのあなただからね?!


なんて元を辿れば私のせいなので言葉を飲み込みこっそりトイレを出た。


「2人とも遅かったわねー!」

「僕も名前おねぇちゃんとキッドの話で盛り上がっちゃって……」


嘘っパチだ!!
脅した癖に!!


でも、全部話せて気を遣わなくて良くなったから、すごい晴れやか!


「あースッキリした!!」

「あんたそんな我慢してたの?」


え。
そっちじゃない。
蘭ちゃんは苦笑いで名前ちゃんったらとか言ってるし。


まぁ、でもいいや。
だって、心はこんなにも晴れやかなんですから……!!


「げっ。オレンジジュースうっす!!」

「氷溶けちゃったんでしょ?」

「私新しいの貰って来ようかー?」



この世界にいるのも、楽じゃない。


ーEND?ー


「名前から連絡来ねぇっ!!あいつ道端の石ころでも踏んで死んでんじゃねーのかっ?!」

「快斗ぼっちゃま、そんなんで死ねば世の中結構な人数が亡くなっておりますよ」


一日名前と連絡が取れないだけで不安な快斗君なのでした。




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