02
「おまちどおっ!コナン君!」
「わーいありがとう!」
コナン君が黒羽君に集中しない様、必死に話しかけた。
コナン君が好きなレモンパイだったり、蘭ちゃんの話だったり。
でもこの考えを先読みされているのか、どの話もすぐに終わり黒羽君探りの目になる。
キッドの話をすれば長く話せるんだろうが、本人の目の前でその話をするほどひねくれてはいない。
あとは最終手段……
「ねぇ、コナン君!ホームズ大好きなんでしょ?私あんまり知らないから、教えてよ!」
「ホームズ興味あるの?!本貸してやるよ!」
おいおい最後少し新一君出てたぞ。
でもノッてくれた!!
このまま聞き専になれば……。
ーーーー
「じゃあまたね!名前お姉ちゃん!」
「ば、ばいば〜い」
何時間語られただろうか。
聞き専になって質問を絞り出した私の精神面は限界だ。
オーバーヒートして後半は右から左へ受け流した。
疲労感が半端じゃない。
痩せたかも。
「随分仲良さそうに喋ってたじゃん。おめーらいつの間にそんな仲良くなった?」
「頑張って聞いてただけだよ!実際そんなにホームズ興味無いもん……コナン君には申し訳ないけど……」
「にしても楽しそうだったけどな」
「まぁ、コナン君は前の世界ん時から好きだったから!可愛くてぎゅーってしたくなっちゃうよ!」
「……そ。」
あれ、冷たい。
何かしたかな?
「黒羽君のいれてくれたカフェオレが飲みたいなー!」
「自分でいれろ」
こっちを向かずその一言だけ言うと、そのままキッチンの奥へ行ってしまった。
取り残された私と寺井さん。
寺井さんは微笑みながらキュッキュとコップを拭いている。
寺井さん何か原因知ってるのかな?
「寺井さーん、黒羽君つーめーたーいー」
お客さん用の椅子に座ってぐたりと机に突っ伏しながら嘆く
「じゃあ今日はもうあがって、ここで快斗ぼっちゃまと夜ご飯でも如何です?その時に直接本人に聞いてみてはどうですか?まぁ、答えてくれないでしょうけど」
「じゃあ寺井さんはなんで黒羽君冷たいか知ってるんですね?わかっちゃったんですね?」
やばい事言っちゃったのかな……
「ええ、寺井は気づいちゃいましたよ」
気づく?わかったんじゃなくて?
なんて思ったけど別に聞き返す程の事でも無いので、お疲れ様ですと言ってタイムカードをきった。
「今日はハンバーグにしますね。作って来るので、快斗ぼっちゃまとお話してて下さい」
「ハンバーグ?!やったー!」
寺井さんはニコニコと微笑み、キッチンに入って行った。
その代わり黒羽君が出てきて、ちょっとぎこちなく2人きりになった。
「黒羽君、なんで冷たいの?」
「別にー」
「あ、ムスッとしてる」
「してねーよ!」
「あ、怒った」
「いちいち感情を読み取って口にすんな鈍感!」
何故今鈍感が出てくる!!
「ひどい!私今何も失敗してないよ!」
「ドジと鈍感はちげぇぜ?」
「じゃあ私今何したのさ」
「……なぁ。おめーキッドの手伝いしねー?」
ええええ!
いきなり話変わった!
はぐらかされた?!
でも嬉しい!!
やりたいよ!
念願の夢だった助手!!
やりたい!!
「やりたいやらせて下さい!!」
「遊びじゃねぇんだぞ?警察に捕まったら終わりだからな?」
「わかってるよ!」
「ドジったら終わりだぜ?あの名探偵だって追っかけてくる」
うっ……。
コナン君と仲良くなってしまったから少しやりづらい……
「わ、わかってるよ……」
「んじゃ決まりな!ドジらねーように気を付けろよ!まじで!あとは名探偵にバレねー様に顔と声は隠さねーとな」
「ななななんか緊張してきた」
「日頃から気を付ければ大丈夫だろ」
楽しみだとニコニコしながら言ってくれた。もしかして………
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