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私は今、かっこいい。
きっとかっこいいことをしている。
ちょっと自慢したい。


『次は?』

「次は……右にあるドアの奥に隠し扉がある!その部屋に空気講があるはず!そこから出れない?」


園子ちゃんには申し訳ないけど、今鈴木財閥のセキュリティ管理を乗っ取り、ドアのロックを解除。逃げているキッドの逃走ルートをこのインカムで促している。


『おいおいこれ登ってけってか?!』

「屋上に向かう空気講だよね?それしかないから頑張って!」

『了解』



うわぁ、私、お手伝いしてる!


「きゃーっ!!夢が叶った叶ったー!」

『うるせーこっちにまで聞こえてる!…はぁっ……鼓膜破れる……はぁっ』

「息上がってるよ?なんかエロいね。ぐへへ」

『るせー女だろおめー…はっ…気持ちわりぃ事っ…言ってんじゃねぇ』

「もう何言われても今の私は幸せです」

『脳内お花畑やろー。あ、おい!』

「どうしたの?」

『これ外側から鍵かかってんぞ?!中からじゃ隙間が狭すぎて手入んねぇ!後ろは追っ手がもう来てるはずだ!どうする!』

「えっ?!そんなはずは……」


なんで?
なんでだろう……
画面には載ってなかったはず……!

このままじゃ捕まっちゃう!
どうしようと頭をフル回転させ、パソコン画面を改めて目を細めて見る。

……これは!!


「載ってたー!!表記ちっさ!!見えなっ!蟻じゃんこれ!ねぇ見て寺井さーん!これ小さすぎない?!あっはは!」


逃走ルートに蟻ぐらいの小さな鍵マークを発見。見逃してしまっていたわけだ。
これ次郎吉おじさん見えるのかな?



『んにゃろー笑ってねーでさっさとどうにかしろ!』

「あ、そうだった…!どうしよう寺井さん!」

「直接行って開けるしかないですね……警備の格好をして10皆までエレベーターを使い、そこから外にある梯子を登って屋上へ。そこで隙間からぼっちゃまにピッキング材料をもらい、教えて貰って開けて下さい!」


そ、そんなこと……


「……私にできるかな……」

「できます!2人で行くわけにも行かないので、ここは名前さんの腕の見せ所ですよ!」


いつもドジな私にできるのだろうか
私が少しでも遅ければ、2人でお縄についてしまう。
それだけは……キッドだけは絶対にさせたくない。
寺井さんに行って貰った方が……


『名前!!お前ならできる!!来い!考えてる暇はねーぞ!』

「!!」


考えてる暇はない……
でも、できる自信がないよ……
どうしようっ……


『……なぁ名前、俺がお前を助手にしたんだ。絶対できるよ。俺を信じろ。何かあっても、俺がおめーだけは守るから、な?俺に、会いに来いよ』

「会いに……助けに……行く!!」

『よし、偉いぞ!じーちゃん、聞こえるか?!』


インカムから漏れるほど聞こえているが、ちゃんと聞こえる様に寺井さんにインカムを渡した。


2人で何か喋ってる間、私は改めてパソコン画面を睨みつけ、ルートを確認。
軽く助手をやりたいなんて言うもんじゃない。凄く、凄く重たいんだ。そう感じながら。


「名前さん、これを着てキッドの元へ」


いつの間に持ってきたのか、目の前には警備員の制服。


『名前!急げ!!』


インカムから小さく聞こえたキッドの焦っている声。
私がやらなきゃ!!


「行ってくる!」


急いで制服に着替え、ビルの屋上へ




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