04
「名前……ごめん、泣くな「ふぃーっ!!さっむ!やっぱ冬はアイス食べるもんじゃないなー!でもこれ新発売だったしおいしいから感無量ー!でももういーかな…」
「え」
「え?」
振り返った名前は涙1つ流しておらず、真っ赤な手にはアイスが握られていた。
こいつ………!!
「く、黒羽君!!……食べる?」
「いらねーよ!」
とは言ったものの、もういらなさそうな顔をしていたから俺が全部食ってやった。
まじさみぃ!!
「……ここだと思った。バーロー、探して下さいってなんだよ。普通探さないで下さいだろ」
「だ、だって探して欲しかったから……」
はぁ。こういうところが好きなんだよな
「そっか。ごめんな、あんな事言って」
「んーん、私も迷惑かけてるなって思ってたから」
「ほんとは思ってねーよ。迷惑なんて」
「え?でも……」
もう、言ってしまおうか。
名前は俺のことをファンにしか思ってないかもしれない。
名探偵が好きなのかもしれない。
でも、もしそうなら。
もしそうでも、構わない。
俺はずっと影で好きでいるから、
応援しているから、
気にしないで。
「名前が傍にいてくれて、近すぎて、自惚れてた」
「えっ……?」
「でも、わかんなかったんだ。名前は俺のファンなだけなのか、本気で好きでいてくれてるのか」
「………」
「最近、名探偵と仲良くなって、俺の知らない話を名探偵とする様になってて、正直嫉妬した。でも、俺は……名前が好きだ。ドジで、鈍感な名前が好きだ」
「うそ………!!」
「でももし名前がただのファンなら、名探偵が好きなら、」
「ねぇ黒羽君」
「……え?」
「コナン君ってさ……工藤新一君ってさ、かっこいいよね。みんな好きになるのもわかるよね!!」
言葉に詰まった。
俺の話を遮って、名探偵の話をして。
きっとこの先は聞きたくないのだろう。
玉砕した音が聞こえた。
「ね!そう思わない?」
「……だなっ……!」
無理やり笑顔で、そう答えた。
もしだめなら、影で見守ると決めたから。
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