01
やっと夏休みに入った。
待ちに待った夏休み…
でも、私の大好きな黒羽くんと会えなくなるのは辛い…
辛すぎる…
「とぅらーーーーーい!!!!!」
「「うわっ?!」」
「急にでけぇ声出すなよびっくりすんだろバーロー!」
「名前、何が辛いの?」
夏休み前の終業式も終わって、青子と黒羽くんと3人で帰っている途中だった。
急に叫びだした私にびっくりする2人
「黒羽くんに会えないのが辛い…!!辛すぎる…!!黒羽くんんんっ!!」
辛いよーっ!!と泣きつくと、なんとも怪訝な顔をされた。
「ああ?ちょっとの間だろーがっ!離せ!ひっつくな!うざい!!」
私が黒羽くんに片想いをしているのを、彼は知っている。
もう好きと言っているのは日常茶飯事で、黒羽くんは否定も肯定もしない。
ただ、真剣にお付き合いしてくださいと言ったことは無い。否定されるのが目に見えているからだ
だから今のこの関係は、心地よい関係
崩す必要なんてないから。
それなら、真剣にならない方がいい
まぁいい方に崩せるなら、そりゃもちろん崩したいが。
そんなことを考えていると、黒羽くんに引き剥がされた。
「引き剥がさないでよぉおおおっ!!黒羽くん、最後のハグさせてえええ!じゃないと生きていけない!!夏休み生きていけない!」
私は再度黒羽くんに引っつこうとするが、手で抑えられた。
「ああ〜うぜぇ!それ以上こっちに近づくなっ…!」
「…そういうツンデレなところもかっこいいっ!」
「…はぁ…」
深くため息をつく黒羽くんとめげない私に、青子はぷっと吹き出した。
「もー2人を見てるとおっかしー!あ、じゃあ青子はこっちだから、2人でごゆっくり♪」
「うん、じゃあね、青子!」
「青子ーこいつ連れてってくんねー?」
「なんでひどい!!これから2人の時間なのに…!!」
「じゃあね快斗ー!あははっ」
「…ちっ」
「黒羽くん、好き好きー♪」
「はいはい。そういえば、蘭と園子と坊主から、6人で夏休みにキャンプでも行かねぇかって青子が誘われたらしいんだけど、おめーも行くだろ?」
「あ!その話聞いたよ!行きたい!楽しそうだしね♪」
「んじゃ、みんな行くっつー事で決まりだな!」
「…黒羽君、1つ頼んでもいいですか…」
「内容によるな。おめー変な事言ってきそうだし」
「…黒羽君の五右衛門風呂に、私も入れて下さ「やっぱり!!!」
「えーまだ最後まで言ってないじゃんよー」
「おめーの言う事はだいたいわかんだよ!!つーか五右衛門風呂なんてねーよどこにキャンプ行く気だあほかおめぇ!」
「あーあ。五右衛門風呂さえあれば…」
なんて口を尖らせていると、そこじゃねぇだろと笑われた。
まぁ、その笑顔に免じて許してやろう
「でもキャンプは大勢の方が楽しいし、楽しみだね!」
「だなっ!詳しく決まったら連絡するからな!」
「うん!携帯焦げるほど見つめて待ってる!」
「…それはやめてくれ」
黒羽君はそのままは私の家まで送ってくれて、別れのハグはしてくれずにしぶしぶ家に入った。
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