05
「…もしもーし」
『風邪、どうだ?』
「悪くなってく…」
『ちゃんと薬飲んでんのか〜?』
「飲んでるよー」
『明日ちゃんと病院行けよ?』
「うん、ありがと♪」
『おう。でな、王子役変わって貰ったぜ?』
「ほんと?!誰っ!?」
『園子』
爆笑している新一の奥で、王子役がキッド様だったら私はお姫様役をやってたと園子の大きな声が聞こえ、思わず笑った。
「園子かぁ!男の子じゃないんだね!」
『男だったらまたあいつが嫉妬するだろ?』
「ふふっ。さすが新一、よくわかってらっしゃる」
『そうだ『名前ー?!大丈夫?!』
「蘭っ?」
新一の声に被せて入ってきたのは蘭の声
昨日の朝から聞いてないから、なんか新鮮
『みんな心配してるのよーっ?早く治してねっ!』
「ありがとうっ♪」
『私も心配してるわよー!あんたのお相手役やってやるんだからっ!早く戻ってきてよねっ!!』
「園子ー!ありがと♪」
『っていうわけだから…早く戻ってこいよ』
「あれ、新一は心配してくれないのー?」
『さっきしただろっ…?!それでじゅうぶんじゃねぇかっ!』
「冷たいなー」
『ったく…心配だっつーの…』
「ありがと、新一♪」
『はっ、早く戻れよなじゃあな!』
一息でいっきに言った新一はそのまま電話を切ってしまい、ポカンとなったがみんな心配してくれていることに幸せを感じる。
「…幸せだよ〜大福〜」
大福は完全に知らん顔
そんな大福をじっと見つめていると、ある事を思いついた。
よたよたと起き上がり、紙とペンを用意して、快斗に手紙を書く
力が入らない右手で、必死に思いを込めて。
それを大福の首にくくりつけ、窓から放した。
大福は快斗の鳩のはず。
ちゃんと届きますように…
布団に戻った私は再度目を瞑り、眠りに入った。
ーーーー
あ…またおでこがひんやりしてて気持ちいい。
ん、甘い香りに熱を帯びた唇
「んっ…」
うっすら目を開けると、ニコッと笑った快斗の姿。
「お目覚めですか…?お姫様♪」
「快斗っ!!!」
目の前にいたのが嬉しくて、びっくりして。
思わず抱きついてしまった。
「おわっ?!ばばばばーろぉ、ドキドキさせんなっ…!」
「王子様はそんな事言わないよ。ふふ」
「失格だな…はは…」
「あのね快斗…手紙読んだ…?」
「おう」
「ごめん、私ノートに集中してて…返事てきとうに言っちゃって、快斗傷つけちゃった」
「いや、俺のただの嫉妬だ…俺こそ看病するって言って、してやれなくてごめんな?」
「んーん!いいのっ…!私は快斗だけだからね♪」
「…可愛すぎ」
少し見つめ合って、どちらともなくキスをした。
先ほどの、甘い香りに包まれて。
「…ねぇ快斗チョコ食べた?」
「あっバレた?」
「バレバレっ!」
「まぁまぁ、大福買っきてやったぞ♪」
「やったあああ!快斗大好きっ!!」
「俺も大好きだぜ、お姫様♪」
私は大好きな王子様にキスをされて目が覚めましたとさ。
めでたしめでたし♪
ーENDー
快斗へ
大福に手紙を運んでもらうね。
昨日はごめんなさい。私がお姫様役に決まった後、すぐに早退してきて王子様役が誰だかわからなかったの。
なのに快斗に聞かれた時、てきとうに返事をしちゃって…楽しみなんて言っちゃってごめんね…
新一と相談して、王子様役は園子に決定しました。
だからちゃんと快斗に会って話をしたい。
会いたいよ。私は快斗だけだし、快斗大好きだよ。
PS
大福食べたい
名前より
「…ぷっ…なんだよ大福食いたいって……俺も大好きだぜ名前。………ところでおめー、大福って名前ついたのか?」
「くるっぽー」
「…喜んでやがるな?」
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