04
「快斗〜…でてよー…」
鳴り止まないコール音
留守電にもならず、電話をしぶしぶ切った。
「どうしよ…」
とりあえず、新一にこれで本当に役が決定したのか電話する事に。もう学校は終わっているはず。
『もしもし』
「新一?ステージ発表の役が決定した紙を見たんだけど…新一王子役なんだね」
『あぁ。そうなんだよ。俺は断ったんだけどよー…無理やりやらされることになっちまった…』
「そっか…さっきまで快斗来てたんだけどさ…この紙見て怒っちゃって…私が悪いんだけどさ…」
『嫉妬かぁ?情けねぇなぁ。今日はもう帰ってる途中だから、明日もっかい変えれねーか聞いてみるわ』
「ごっ、ごめんね…なんか…別に新一が嫌いとかそういうわけじゃないんだけどさ……」
『俺だって…おめーとキッ…キスなんかしたくねーし…!!ちょうどいいわ!』
「あっ…なんかごめん…」
『とっ、とにかく…まだ具合わりぃんだろ?ちゃんと寝とけよ!』
「うん、ありがと!」
『じゃあな!』
電話を切り、とりあえず相手が変わりそうだと言う事を快斗に伝えようとリダイヤルを押した。
…でも、もしこれで相手が変わらなかったら?快斗の怒りは収まらないだろう。と言うか寧ろ期待から突き落としてしまう。
もし変わったとしても…相手は男の子。
快斗は次その子に嫉妬するのではないか。
そんな考えがよぎり、発信ボタンを押さず画面を閉じた。
いや、まずは快斗にてきとうな返事をしたことを謝るべき。
謝るなら、メールではなく直接。
でも学校も違ければ電話も繋がらない。
この数分間で頭をフルに使った。
風邪を引いているからか、元々か。アホな私には答えが出ず、具合の悪さだけが増す一方。
今考えても何も思い浮かばない
とりあえず寝よう。
「おやすみ…」
その声だけが静寂に波紋した。
「ん…」
目を覚ましたのは次の日の朝8時
学校に行く時間に間に合わなければ、行く元気もない。
風邪はやっぱり悪化しており、薬を飲むためご飯を無理やり口にしてから飲んだ。
先生に学校を休むことを伝え、ずっとベッドの上でだらだらしていると、あっという間に16時を回った。
昨日のこの時間は快斗と仲良く喋ってたなぁ…なんて時計を見る度逐一考えてしまう。
そんな時、窓ガラスがコツコツと音をたてた。
「なんだろ……」
重い体をゆっくりと持ち上げ、カーテンを開けて窓を確認すると、真っ白なきれいな鳩。
「…!快斗の鳩だ…!」
どうやってここに来たんだろう?
なんて鳩に質問しても答えは返って来ないわけで。
とりあえずその鳩を手に乗せ、エサになるような物をあげると勢いよく食べてくれた。
そのまま寝室に連れて行き、横になりながら静かに鳩を撫でると、そのままもっちりと布団に鎮まってるのがとても可愛い。
「ふふっ…落ち着いてるねぇ君は。名前何にしよう…決まってるのかな?…大福?いいね大福。大福〜」
勝手に名前を決めて呼ぶと、こころなしか目をゆっくり閉じた気がした。
「そっかぁ気に入ったかこの名前。……大福食べたくなってきた」
その時、着信が来て勢いよく取り画面を見ると、工藤新一の文字
新一には申し訳ないが、快斗じゃなかったことに少し落胆。
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