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「君は、僕のーーー」


そこまで言われた時には、心臓の動きはピークに達していた。

昔ゼロと呼ばれていた透くん。
昔ゼロと言う言葉を使っていた私。
あの男がゼロの可能性があった。
もしそうだったとしたら、透くんは私を騙して傍にいた事になる。

それが凄く、心臓に刃物が突き刺さる思いだった。
そこからあまり透くんと関わりたくなくて突き放してしまっていたが、今日はとうとう捕まった。

そしてどこへ行くのかと思えば、私が家族と住んでいた空き地へ連れて来られ、疑念がいっそう深まる。

透くんは何がしたいのだろうか。
自分はあの男だとここで言いたいのだろうか。

いやまだ決まったわけじゃない。
とりあえず、透君が言った通り空き地や、近所、近くにあった小さな公園を見回して、ブランコを見て頭に浮かんだ、“お兄ちゃん”という言葉。

私にお兄ちゃんがいたの?
もしかして……透くん……?

そう思って聞いたからには、もう後戻りは出来ない。


「君は、僕の兄弟ではありませんよ」

「えっ……」

「どうりで、僕がゼロと言われると答え時から態度がおかしいと思ったんです。“ゼロ”という単語が記憶に戻って来た時に、僕の零と言う名前を思い出し、あの男が僕じゃないかと疑った。しかも今日ここへ連れて来られた挙句兄の存在を思い出し、僕があの男であり兄じゃないかと疑った……ってところですか?」

「ごめんなさい」

「まぁ、僕も昔から関わっている人物って答えてしまいましたから、勘違いもしますよね」


困った様に笑う彼には、謝るしかない。
1番近くにいて、協力してくれている彼を疑うなんて。


「ゼロという言葉を知っているのは、スコッチ、赤井秀一、宮野エレーナ、コナン君ぐらいですかね」

「え、コナン君も?」

「えぇ。まぁ昔から関わっていたわけではありませんが」

「コナン君以外、誰も知らない。コナン君が私の兄なわけないし……というか新一君の歳からしても年下だし、私の考えは完全に間違えね」

「……いや、そうでもありませんよ。名前さんがゼロという単語を知ってる以上、この中の誰かと名前さんが昔から関わっていた可能性が高い。それが兄なのかはわかりませんが」

……確かにそうだ。
となると、私は昔から透くんと間接的に関わりを持っていた可能性が高くなる。
あの男=兄なのか。
また別なのか、気になるところだ。

「名前さんが言うあの男は、名前さんの記憶喪失後、危険な目に合わせない為に自分が兄だと隠した可能性も捨てきれませんね」

「私も考えてた」


なんともめんどくさく、また解明したい記憶が1つ、戻ってきた様だ。




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