13
「僕がキッドにシェリーになる様に頼んで、名前さんがコナン君達が大人しくしている様に捕まえたってわけです」
「……なるほどな。でも最初から俺に脅しにかかってたけど?」
ポアロに戻った俺達は早速隔離していたコナン君とシェリーに説明。
それに対し名前さんをじとりと睨みつけながら言ったコナン君に、名前さんは苦笑いで返していた。
「ま、まぁそれはコナン君達が私の事黒の組織だとしか思ってないから、最初からあなた達の味方よ〜なんて言っても信用しないだろうと思って……」
「まぁ、何もしてこねぇっていう確信はあったけどな。銃はデコッキングしたままだったし、策略があまりにも簡易的だしな」
「だから落ち着いてたのね。コナン君に手出されたり、シェリーにそこら辺うろちょろされるとめんどくさいからね。シェリーを組織に渡すつもりはないよ」
「それはどうも」
「でもキッドはなんでわざわざ宮野志保に……」
「借りは返す主義だって言ってましたよ。鶴の恩返しの様なものじゃないですか?」
俺が言うと、コナン君はふーんとあまり納得していないような顔。
結局ここにいる4人の正体はみんな知っている事になる。
コナン君やシェリーは、俺達が公安からのスパイだということ。
俺達はこの2人が工藤新一と宮野志保だと知っているということ。
俺はコナン君から元々疑われていたが、名前さんはバレた事になる。
それでもシェリーを守るあたり何か理由があるのか、それとも正義感が強いのか。
「みなさん、コーヒー飲みます?」
みんなそれぞれ首を縦に振ったので、カウンターに入りコーヒーを準備する。
奥では名前さんがコナン君とシェリーに自己紹介をしていた。
「名前って呼んで、コナン君、シェリー」
「じゃあ、そのシェリーって言い方やめてくれない?」
「哀ちゃんね」
「江戸川君は安室さんの事を元々疑ってみたいだけど、あなたは何故江戸川君と私の正体を知っているの?」
「……さぁね。秘密♪」
名前さんがどういう反応をするのかと見てみれば、ウインクをして答えた。
予想通り言うはずもなく、視線を手元に戻す。
それは、俺も知らない。
単独で調べているのだろうか。
後で聞いてみようと思うも、どうも先程から少し気まづい。
それは、ゼロと呼ばれていたと答えた時から。“そうなんだ”と答えた彼女にどうしたのか聞いても、零という言葉はゼロとも読めるから、と答えただけ。
きっとそれだけじゃないだろうと思ったが、無理やり聞くような事はしたくない。
もし、俺達が普通の生活を送れていたら。
普通に告白して、普通に付き合う事が出来ていたのだろうか。
それとも、一生出会う事が無いのだろうか。
「みなさん、コーヒー出来ましたよ」
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