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「ゼロ……なんか気にかかる……」


でも、こういう時に限ってなかなか出てこない。記憶が戻らない。
でも何かが引っかかる。

なんでだろうと考えながらも、車に乗り込み車庫に移動させた。

そういえば、シェリーはなんて返事をしたのだろうか。
銃声が聞こえないから、多分殺されてはいないだろう。

もっと普通の生活がしたかった、とため息をつきみんなの元へ戻れば、シェリーはジンに連れられどこかへ行く様だった。


「地下室に行くの?」

「ここだと銃声が響くからな」


地下室……。


「別にそんな事気にしなくていいんじゃない?今まで気にせず人前で射殺してきたじゃない」


ね、キャンティ。と見れば、アタイは腕がいいからさ、と微笑む。
それを見たジンはこっちに踵を返した。


「それより、今撃っちゃえば?」


とジンに笑みを浮かべる。

殺すという選択をしたということは、シェリーは先ほどのチャンスを無駄にしたということだ。


「私は死に目に興味無いわ」


ベルモットはそのまま奥へ。
皆無言でそれを見送る中、私は疑問を抱いていた。

ベルモットはコナン君やシェリーの事になると積極性を失う。
この人は、何か遠い存在な気がしない。


「兄貴、どうしますか」

「ベリーニ、お前の望み通り、ここで最期を見送ろうじゃねぇか」

「……ふふ。私の獲物の死に目くらい、見させてよね」

「血も涙もねぇ女だな」

「っ……!」


大きく笑うジンが癪に障る。
ギリ、と歯を噛み締め耐えた。

血も涙も無いやつが、平気でそんなことを言える。それはあなたでしょ?ジン。


「ベリーニ」

「え?」


トン、と横から肩を押され我に返ると、目の前には冷たい視線のバーボン。


「居たくないなら、どっか行って下さい」

「なっ……そんな事言ってないでしょ?!」

「やるなら後にしろ。今は………こっちが先だ」


カチャリと銃をシェリーに向けるジン。
その笑みは、血も涙も無い、不敵な笑みだった。


「お姉ちゃんと同じ様に殺すのね」

「あぁ。あいつは用済みだ。ただお前みてぇな裏切り者の行く末は死しかねぇ。良かったな、シェリー」

「……っ……」

「もーさっさとやっちゃいなよ!アタイがやろうか?」

「キャンティ、落ち着いて」

「あんた達が無駄な喧嘩してるから!」

「ごめんなさいね」


眉を下げて微笑むと、目を逸らすキャンティ。どうも私には弱いらしい。
妹の様に思ってくれている。

組織内でも、一応小さな愛情はある。
特にジン、ウォッカ、キャンティ、ベルモット。コルンはよくわからない。

ある意味裏切り者のバーボンと私も、抜け出せば皆何事もなかったかのように私達を暗殺するのだろうか。


「じゃあな、シェリー」

「…っ!!」


引き金が引かれた直後、大きな銃音と共に、小さな煙と、煙の匂いが舞う。

どこか、知っている匂いだった。




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