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「行っても誰もいねぇぞ」
「あら、それは博士だけでしょ?シェリーはいるわよね」
「!!てめぇっ……」
そりゃあ、シェリーしかいない時間を狙いましたから。
その後は無言のまま、大人しく歩いてくれる。
思ったより落ち着いているみたいだから楽だ。
それか、作戦を考えているか。
まぁ、コナン君は後者だろうね。
阿笠邸の前につき、コナン君にインターホンを押させる。
私はカメラの死角に入り、逃げない様銃を頭に向けた。
「灰原、入れてくれ」
『今開けるわ』
ガチャ、と音がしたと同時に門の中へ。
そのままコナン君に先頭を歩いて貰い、玄関の中に入った。
「いらっしゃい江戸川く……!!!」
パソコンに向かっていた目をこっちへ移した瞬間、目を見開きガタガタと震えだしたシェリー。
「やっほーシェリーちゃん♪」
彼女もまた、私が黒の組織だと認識している1人。
「べ、ベリーニ……!!」
「さ、2人に話したい事があるの。シェリー、探偵バッジを外してこっちへ来なさい」
コナン君の頭に向けた銃をちらつかせると、私の目の前に来てバッジをよこした。
あとはバーボンに迎えに来てもらおう。
携帯を取り出し、電話をかけた。
『行きましょうか?』
「お願い」
その会話だけを済ませ、2人に銃を突きつけたまま待つこと10分。
着いたと連絡が来て2人を連れて外へ。
「この車……っ!」
「あら、気づいた?」
コナン君なら、もう誰かわかるよね?
「やぁ、コナン君」
「安室さん……っ!?」
「今はバーボンと呼んで頂きたい」
ね。とコナン君にウインクをしたバーボンの車に2人を乗せ、とりあえず一息。
「あなた達、何をする気なの」
バーボンがコナン君の知り合いだとわかって安心したのだろうか。
震えていた体は落ち着き、またコナン君も少し余裕の表情を見せた。
「それは帰ってから話すわ」
「帰る……?」
ーーーー
「ポアロ……?」
「ポアロよ」
「ポアロですよ」
「………」
目が点のコナン君。
驚くも当然よね。
家のすぐ下に戻って来たんだから。
これでもう敵だという認識は少し減っただろう。
ポアロの中へ入り、銃をしまってシェリーとコナン君から預かった物を返した。
「ベリーニ?だっけか?」
「ええ」
「お前は黒の組織……なのか?」
「黒の組織だけど……簡単に言えば、バーボンと同じって感じかな」
「コナン君はもう僕の正体を知っているようなので、これ以上は言わなくてもわかりますよね?」
「あぁ。俺はな」
「私にはさっぱり。私を組織に渡したいのか渡さないのか、ハッキリさせて欲しいんだけど?」
「それはこれから話す。まずは、みんなコーヒーでもどう?ふふ」
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