16-5
「名前!!」
「?!わっ、きゃっ!!」
「わっ…!」
階段を見ながら降りていたので、突然の声にびっくりして階段を踏み外した。
「冷た〜っ…ってごめんなさ……快斗!!」
「ここだと思った♪」
ちょうど快斗が下敷きになり、前日に大量に降ったふわふわの雪がクッションになった。
その雪が舞い上がる中の快斗の笑顔に嬉しくなり、思わずそのまま抱きついてしまった。
「快斗っ!!」
「わぁっ…!冷てっ…」
「あっ…ごめん…」
「…俺に会いたかった?」
次は意地悪な笑顔で質問してくる。
会いたかったよ、もちろん。
なんて、言ってあげない。
「…別に♪ふふっ。」
ごまかしきれていないであろうごまかしを言って、2人で立ち上がり雪を払う。
「ごめんね、大丈夫だった?」
「おう♪雪があったからな!」
「ならよかった…それよりどうしてここに?」
「用事終わってさ、名前まだ起きてるなと思って家に行ったんだけどいなくてよ。連絡したんだけど…充電きれてる?」
「あ、そうなの。まさか今日会えると思ってなかったから…いいやと思って」
「そっか!まあ、家にいないってことはここかなと思ってよ」
「ご名答〜♪」
「あっ、それよりおめーん家の前取材陣凄かったな!家に行った時、お付き合いされている方ですか?!ってすげー質問攻めにあった」
「そう、いつも怪盗キッドに助けられてるから、怪盗キッドの恋人ですか?って凄かったの。まだいるんだ…」
「なるほどなあ。有名人だな。ははっ」
「怪盗キッドが絡んでるから来ただけだよ」
「あいつもやっかいだなあ」
「はははっ…」
君だけどね、と思いながら苦笑いをしていると、快斗がポッケから飲み物を取り出し私に差し出してくれた。
「はい、ホットココア」
「わぁ!ありがとう!」
「好きだろ?これ」
「うん!」
さすが快斗♪
わかってるな。
「それ俺が作ったんだよ、ホットココア!」
「えっ!そうなの?!」
「ホットココアのペットボトルに入れて完璧に再現してからおめーにあげようと思ってよ♪」
「ええ凄い!どうやって作ったの?!」
「嘘だよ」
「嘘かよ!なんだあ」
何故今嘘をついた?
今日はエイプリルフールじゃないぞ間違えてないか君。
「ははっ。それより、明日どこ行こうか?」
「えっ、今日会ったのに明日も遊ぶの?」
「冷てえっ!!」
俺泣いちゃうんだけど。と項垂れた。
可愛いなぁ。って言ったら怒られるからやめておく。
「嘘嘘〜!遊ぼ♪」
「よかった〜。今日、何もあげれなくてごめんな」
「いいよ!快斗に会えたから♪」
「バーローっ…いきなりそんな事言うなっ…」
「照れてる〜?」
「照れてねええっ!!」
結局次の日デートする事になり、私が欲しかったものを買ってくれた。
やっぱり、快斗は優しいな。
それより、来月で1年経つが、ちゃんと3年生になるのだろうか……
漫画では変わらないけど…
どうなるんだろう。
因みに、その後も取材され続けたが頑なに拒否し、段々と取材陣が減っていつしか来なくなった。あー良かった。
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