16-3
ようやく二月も終わり、今日はホワイトデー。女の子がわくわくする番だ。
今回のホワイトデーは土曜日。
快斗とデートする事になった。
あと数時間後には行かなきゃ…
その時、メールの着信音が鳴り、開いてみると快斗からだった。
『わりぃ、今日用事できた…デート明日でもいいか?』
「ええっ?!快斗の用事…っていったらキッドしかないよね。はあああ。…しょうがないよね…明日でいいか…」
『そっか、しょうがないね!明日でいいよ!』
っと。返事OK。
これはほんとにしょうがない。
私は応援するって言ったんだから。
明日行けるんだし、我慢しよ。
そのままソファーに倒れた私は、睡魔に襲われるがままに目を閉じた。
ーーーー
「…!!やばい!!もう夕方?!」
デート中止の時間が既に昼頃だった為、起きた時にはもう夕方になっていた。
とりあえずテレビをつけると、キッドからの予告状が出たというニュースがやっていた。
「やっぱりね。…!?えっ!!!私映ってる!!」
そのキッド関連のニュースで、私がキッドに屋上から連れていかれる映像が流れた。
“怪盗キッドに恋人か?!”
『最近よく、屋上にいるこの女性が怪盗キッドに連れていかれているようですねえ』
『毎回ですからねぇ。誘拐ではないようですし、女性も嫌そうな顔はしていませんしね』
『怪盗キッドのポーカーフェイスも何故か和らいでいるようにも見えますね。』
『この女性は恋人で間違えないでしょう』
……えええええっ!!!
違うし!!いや、違くないけど…
そっか、いつも私を降ろしてくれるから……
応援するとか言ってさっそく快斗の重荷になってしまった……
「…まあ、大丈夫だろう。夜景でも見に行ってくるかな」
何が大丈夫なのかよくわからないが、そう自分に言い聞かせ、1人で夜景を見に行くことにした。
「よし、行ってきます」
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