16-1
寒い寒い2月。
男の子がウキウキする行事が待っていた。
「名前ー、もう少しでバレンタインだけど、快斗に何作るか決まったー?」
「あ。バレンタインか…決まってないや…何買おうかなー」
「えっ、買うの?作らないの?!」
「えっ?!作るの?!」
「質問に質問で返さないでよ……」
「あ、ごめんごめん。青子は快斗に作るー?買うー?」
「私はあげないよ?」
「えっ!!なんで!!」
「えー彼女いる人にあげないよ普通ー」
「えー別にいいよー?それにあいつは彼女いるいない関係なく欲しい人でしょ?」
「でもあげないよ!コナン君にあげようかなー?」
「でもコナン君には蘭が…あ。」
「そうだけど別に付き合ってないでしょあの2人ー」
付き合ってたらびっくりだよ〜なんて笑う青子を見て苦笑いした。
一応、工藤新一なんです。あの人。
「そ、そうだよね。私もあげようかな」
まあ蘭はコナン君小学生だと思ってるし…。
別に好きなわけじゃないからあげても問題ないよね?
「あ、快斗おはよー!」
「はよー名前!青子!」
「ねえ快斗、バレンタイン何欲しい?」
「名前にリボンつけて食「却下。」
「バ快斗…」
「変態…」
「名前に変態って言われた…」
「真面目に聞いてるの!」
「んー……手作りがいい!!」
ほらね?と青子に苦笑いされた。
「めんどくさーい」
「うわー彼氏にあげるチョコめんどくさいだって…彼氏なのに…彼氏なのに…」
見るからにしょぼんとした顔をする快斗。
くそぅ、本当はポーカーフェイスのくせにこういう時だけ…!!
「わかった作るって…!」
「やったー♪ありがと名前!」
結局、快斗に弱い私。
「快斗……名前と付き合ってからちょっと女々しくなった?」
「感情が豊かになったと言ってくれ」
「じゃあバレンタインもあさってだし、青子今日一緒に材料買いに行かない?」
「いいよー!」
ーーーー
「いよいよバレンタインだー♪今日は何個貰えるかなー♪毎年災難だったからなー」
バレンタイン当日。
快斗は朝一番からるんるんで、ずっとこればっかり言っている。
しつこいなぁ。
ため息をつきながら下駄箱を開け、上靴を履いた。
「おわっ?!」
「どうしたのー?」
「これ…」
快斗が下駄箱を見るので私も覗いてみると、物凄い量のチョコが入っていた。
「うわあ…すごいね…」
「やりぃ♪」
「良かったね」
「一緒に食おー?」
「こんなに食べれない……」
下駄箱だけでもすごいのに、教室に行ったらどんだけ貰うんだ。
快斗はモテ男なんだなあと改めて思う。
教室に着き私が快斗から離れると、快斗の周りにはたくさんの女の子が集まってきた。
「快斗くん、これ!あげる!」
「お?まじで?ありがとう!!」
快斗…満更でもない顔してるな…
もちろん、私が快斗と付き合っている為チョコをあげるのを控えてる女の子もいた。
まあ貰うのは別に嫉妬とまではいかないけど…快斗の満更でもない様子がちょっと腹立たしい。
「快斗の嬉しそうな顔、なんかむかつくね」
見事な代弁だ、青子よ。
「そうなんだよね。嫉妬まではいかないけど、なんかむかつく。あげないかな、私」
「えー!それはだめだよー!」
「なあ名前ー!見て見て!!こんなもらったぜー?」
ほら!と言って貰ったチョコを見せてくる。
「良かったね」
「こんな食えねーよなあー?」
なんて私に聞きながら嬉しそうな顔をしている快斗にやっぱり腹が立つ。
「その顔いらっとするわー……」
「えっ?!ひどい!!」
「…バ快斗…」
青子が呆れて快斗を見ると、快斗は目を点にして頭の上にはてなを浮かべているかの様に首を傾げた。
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