15-1
次の日、私はどう話したらいいのかわからず、なるべく普通の態度で接する事にした。
「おっ…おはよー青子、快斗!」
「あ、おはよー名前!」
「…はよ…」
快斗は怒っているというより、少し気まずそうに返してきた。
「おはよう、名前さん!」
「あ、おはよう夕くん」
「おはよう黒羽くん、中森さん」
「おっおはよー…夕くん」
「………」
快斗は睨みつけ無言。
でもそんな事に目もくれず、夕くんは私に顔を向けた。
「名前さん、今日の放課後、空いてる?」
「空いてるよ!どうしたの?」
「ちょっと手伝って欲しい事があるんだ」
手伝ってほしい事?
なんだろう。
「あ、いいよ…!」
その話をしてる後ろで、青子はこそっと快斗に提案を出した。
「……ノッたぜ青子!」
ーーーー
放課後、私は夕くんに呼ばれて、一緒に通路へ出た。
「何を手伝えばいいの?」
「んー…ごめん。それは嘘」
「えっ?」
「名前さんに、言いたい事があるんだ…」
「えっ?!私なんかした?!」
「あ、違う違うっ!伝えたい事…かな。」
「…何…?」
「僕がイスを運んだ時、なんで急に話しかけてきたか聞いたよね?」
「え、うん…」
「あの時はあまり話したことなかったからって答えたけど…もう1つ理由がある」
「何…?」
「名前さんが好きなんだ」
「…ええっ?!」
「本気だよ。黒羽くんと仲が良かったから、なかなか踏み出せずにいたんだ。でも勇気を出して話しかけてみたら、すごく話しやすくて…一緒にいるのが楽しかった」
「……」
「もっと一緒にいたい。僕の傍にいて欲しいって思った」
「えっ…」
「だから…良かったら…付き合ってくれないかな」
ここで夕くんから告白されるとは……
そんな、まさか。
嘘でしょー?!
「嘘でしょ?!?!」
「ちょっ…バーローっ…!おめー声でけえって…!」
「…ごめんっ…でも、夕くん名前に告白してたよ…っ!?」
「っくそっ…」
青子と快斗は、2人がいる反対側の廊下で、窓越しに見ていた。
窓の下の壁に背中をつけて座り、隠れていたのだ。
青子と快斗は再度こっそり見ると、名前は照れながらお辞儀をしている。
声は聞こえないが、口の動きでわかった。
“ありがと、嬉しい…っ”
名前は確かにそう言った。
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