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「…いつもは快斗に1番に見せにくるのにね…夕くんの方行っちゃったよ…ねえ快斗、ほんとにこのままでいいの…?」
「…るっせーよアホ子。」
「はぁ…この数日間、気にしてない気にしてないって言ってるけど…。いつも明るいやつのデメリットは、何を言っても態度でわかっちゃうところだね。」
「別にいつもと変わんねえだろ?!ほっとけよあいつらは!!」
「何さ快斗の為を思って言ってるのに!!」
2人は急に大きな声をだして喧嘩を始めた為、周りがシンと静まり返った。
「ほんとに黒羽と中森は仲がいいな。でもあんまり教室で喧嘩するんじゃないぞー?」
「…はい…」
それを目にした私は、きっと私の事だろうと胸が痛くなった。
このままじゃ、3人全員の仲が気まずくなっていっちゃう…
でも、だからって夕くんに急に話しかけないわけにはいかない。
どうしたらいいのかな。
今更いつも通りに快斗に話しかけるのも…
あーもう嫌だ
わけわかんなくなる…
こうしてこの日初めて快斗といっさい口を聞かず、1日が終わってしまった。
私は今日も夕くんと一緒に帰り、家まで送ってもらった。
「夕くん、いつもごめんね。」
「んーん、大丈夫だよ!それより、黒羽くんとはどういう関係なの?」
「別に、ただの友達だよ。」
「そうなんだ…。黒羽くんが大きい声で言ってたのって、僕と名前さんの事かな?」
「じゃない?」
「嫌な人だな。僕ああいう人苦手だよ。女の子を目の前にして愚痴を言う人。きっと腹黒いよ。あんな人気にしない方がいい」
「っ!!」
笑って平然と快斗の悪口を言い始めた夕くんに、びっくりした。
快斗は普段悪口なんていう人じゃない
夕くんが委員長になったときも、委員長って大変そうだよな、なれるってすげーなって素で感動してたし、あの人は腹黒くなんかない、心から優しい人だって言える。
あんな事をいう夕くんに、正直がくんと株が下がった。
夕くんは悪気はないと思うけど、悪気なく悪口を言うのは1番腹黒いと思う。
「…そうだね…じゃあ、もうこの辺でいいよ、ありがとう」
「うん、じゃあね!」
「じゃあね」
…快斗なら、きっとこの私の微妙な態度の変化も気づいて、気にしてくれるんだろうな…
急に快斗に会いたくなってきた。
そう思いながら家に入りテレビをつけると、ちょうど怪盗キッドから予告状がきたとニュースで流れている。
会いに行こう…!!
そう思うといてもたってもいられず、すぐに家を出た。
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