08-4
「そうですか…残念ですね…」
「えっ…」
まさか勘違いされた…っ?
やばい、どうしよう…
快斗じゃなくて、他に好きな人がいるって捉えちゃったのかな…。
「…私にもいますよ。」
「…えっ!?」
「こんな神出鬼没なイケメン大怪盗にだって、思いを寄せている方ぐらいいますよ」
「イケメン…」
自分で言うな!!と心で突っ込んだが、冷静に返事をした。
ただ、自分に言ってるとは思えなくて…
「…そうなんだ。」
「…深入りはしないんですね…」
「聞きたくないもん、別に」
「嫉妬ですか?」
「違うよ…っ!!」
キッドは何が言いたいの?
でも私に言うはずがない…
キッドは名前ってわかってるんだから。
俺は好きな人が他にいるよって言いたいの…?
あの日の夜だって、結局答えはわからなかった。
話さなくていいよって言ったのは私だけど、待っててとか…
別に好きな人がいて、私は保留にしてるとか…?
でもそれまでもが自惚れかもしれない。
でも…快斗がそんな事に言う人だとは思えない。
もう意味がわからないよ…
何が言いたいの…快斗……
正直、悲しかった。
訳がわからない
何がしたいの?
「…何が言いたいわけ?頑張れって応援されたいの?それとも好きな人はあなたです。って言われたいの?意味がわかんない」
言ってしまった。
ついイラっとして…
「…私には、目標があります。その目標を達成しなければ、その子にはどうもしてあげられることができません。ただ、その子を他の者に奪われたくはありません。気持ちと言葉の矛盾を感じますね…自分の。気持ちが焦ってしまうんです。言葉が先に出ては来ますが、実際はどうにもしてあげられてない。」
「…えっ…それ、同級生に同じ事言われたよ。」
「そ、そうでしたっけ…っ?」
「え、何?質問の仕方おかしくない?そうでしたっけって何?」
「いえ…そうですか…」
私のことかな…
だといいな…
だって、同じ人から言われたんだよ。
嬉しい。
これは、自惚れないわけにはいかない。
いくら鈍感な私でもわかる。
でも、気づかないフリをした方が、快斗の為なのかな。
嬉しくなって、自然とニヤけた。
私だとは言われてない。
でも、自然と笑顔になってしまって…
「その子、理解してくれるといいね。まあその子がキッドの事を好きなのかは別として」
「どうですかね…自信はありませんよ」
「…私だったら待つけどねっ…」
自分で言って恥ずかしい。
「…名前嬢がそういうなら…大丈夫だと信じたいですね」
「…私名前教えてないけど。」
ちょっと意地悪を言った。
仕返しだっ!
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