07-2
「…俺にも、秘密がある。」
「えっ…?」
「…でも、まだ言えねぇ。いつか名前には言える時が来ると思ってた。でもまだ確実に覚悟はできてなかったんだ」
「………」
「そんな中で、おめーの秘密を聞いちまった。まさかあんな秘密があったなんて知らなかったんだ。でもお前は覚悟を持ってあの場で話してくれた。どうしたらいいかわかんなくて、俺の覚悟は余計揺らいだんだ。話してくれた後も、名前に対してどーいう態度を取ったらいいのか、俺の秘密も話さないと割にあわねぇし…でもごめん、まだ覚悟はできてない…でも、名前を失うのは嫌なんだ…」
「…話さなくていいよ…」
一生懸命に話す快斗に、嬉しくて泣いてしまった。
話している事はぐちゃぐちゃだけど、秘密ってキッドってことだよね。
そうだよね。
会って半年の人に自分はキッドだなんて言えるわけないよね。
でも私に言おうかたくさん悩んでくれた。
ありがとう。
「ごめんな。いつか話せる時が来ると思う。俺には目標があるんだ。その目標を達成したら……名前に伝えたい事がある。俺の2つの秘密だ。」
「2つ…?」
「だからそれまで待っててくれ…」
「…わかったよ」
ドキドキしている心臓を落ち着かせ、一息ついて、改めて言った。
「快斗がその2つの秘密を話せる様になるまで、待ってる」
「…っ名前っ!!」
またぎゅっと力を入れて抱きついてきた。
「っちょっ…!苦しい!恥ずかしいよっ…!」
「あ、わりぃっ!」
「ふふっ」
お互い、いつも通りに戻った。
たった1週間の事だったが、私には1年くらいに感じた。
それくらい、深刻に悩んでいたんだ。
それは快斗も同じ。
快斗もこの1週間は悩んで悩んで、1年ぐらいに感じたのかもしれない。
でも、悩んでくれてありがとう。
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