05-4
「それでは、最終戦……始め!!!」
ホイッスルの音と共にみんなバラバラになり、ボールが来るのを待つ。
それにしてもバスケをしている快斗はかっこいい…
惚れそうになってしまう。
もう惚れてるけど。
「名前ー!!頑張れー!!」
「青子!ありがとう!!」
仲間からのパスを受け、そのまま点を入れる。周りから黄色い声が上がるが、その後快斗にダンクを決められさらに上回る黄色い発狂。
もう発狂の域だよほんと。
いやそれにしてもこれは接戦になりそうだ……。
ちらりと快斗を見ると、汗を拭いながらヘラっと笑われた。
くそっ……!
汗も滴るいい男じゃないか!!
ーーーー
「終了!!礼!」
「ありがとうございました!」
負けた………
見事に負けた…
悔しい…
なんて思っていることに気づいていない、空気の読めないやつが1名、私の隣で発狂している。
「っしゃああああ!!勝ったー!!」
やっぱり快斗君すごーい!と女子が快斗の周りに集まっていて、快斗はまんざらでもない様子。
けっ。嬉しそうにしちゃってさー。
「名前お疲れ様ー!残念だったねー…」
「うん、でも楽しかったよ」
「私も見ててドキドキしちゃったよー!」
凄い接戦だったもんね、と励ましてくれる青子は優しさの塊。
負けたやつの隣で喜んでいる空気の読めないやつとは大違いだ。
「んじゃ、帰りのホームルーム終わったらさっさと帰りましょっかー」
「あ、ごめん、私このあと委員会あるの…」
「え、今日あるんだ!疲れるねー…」
「疲れたよーっ私もさっさと帰りたい!!でも出なきゃいけないから、ごめんねー…」
「うん、しょうがないもんねっ」
結局快斗と2人で帰ることになった。
「名前〜っ!俺勝ったぞーっ♪」
「わかってるよ一緒に勝負したんだからっ」
「まあそう拗ねるなよ。はは」
むっすーとしていた私は無言で歩いていると、横から頭に手が乗ってきた。
そのままぽんぽんされ、びっくりして快斗を見るとニコニコしている。
まあ、しょうがない…ぽんぽんで許そう…
「なあ、今日名前んち行ってもいい?」
「…えっ!いいけど…それが罰ゲーム?」
「そうだ!罰ゲームあんだった!!でもちげーよ?これは俺のお願い♪」
しまった…
快斗は罰ゲームの事忘れていたのか…
墓穴を掘ってしまったあああ!!
「えー。お願いかあ…いいよー?」
「おっ!やりぃっ!」
私たちはそのまま家へ向かい、快斗を入れた。
「おじゃましまーす!」
「どうぞー」
とりあえず快斗にお茶をいれて、一息つくとあの話題になってしまった。
「さ、罰ゲームな!」
「うぅ…」
「罰ゲームはー…嘘偽りなく、1番の秘密を俺に話せ!!だ!ははっ」
「えっ…」
1番の秘密…
それは私にとって、現実の世界からこっちの世界へ来た事だった。
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