03-3







「ん…」

気づけば、病院にいた。
視界に入る人影に目を向ければ、焦った顔で立ち上がった2人。


「名前!大丈夫か?!」

「名前お姉ちゃん!」



「快斗…コナン君…」


頭がまだぼやけていて状況がよくわからない。


「ごめん、まだ頭がぼーっとしてて…状況がよくわからない…」

「状況は後で説明する!とりあえず、蘭たちと青子に連絡してくるな!」



そう言って快斗は出て行ってしまった。


「名前お姉ちゃん、大丈夫…?」

「大丈夫だけど、よく覚えてないんだ…」

そう言うと、コナン君が真剣な目であの時の状況を教えてくれた。


ーーー
ーー



「大丈夫大丈夫!!」


そう言った名前はどんどん奥へ進んで行くと、すごい音で地響きがなったと同時にものすごい揺れを感じた。


「きゃあっ!!」

「っおい!地震だ!ここにいたらやべえぞ!!名前!ボウズ!戻るぞ!!」

「名前お姉ちゃん、早く!!」


名前を先頭に行かせ、3人で入口の方へ戻って行くが大きな揺れで足元がふらつく名前はなかなか進めない。

その時…


耳に響く今まで以上の音。
その音と同時に地面に亀裂が走る。


「やべえ!!急げ!!」


すると下から海水が噴き出し、地面が割れた。


「きゃああああっ!!」

「っ名前ーーー!!!!」


名前はその海水に足を飲まれ、流されてしまった。
快斗とコナンはすぐに後を追い、流される水の中、すでに意識を失っている名前を必死に掴もうとする。


「(っくそッ…!!名前…!!っ!ボウズは?!ボウズはどこだっ!?)」


後ろを見ると、コナンはなんとか後ろにいる様子だった。


「(ボウズは平気か。良かった。名前っ…!耐えろよっ……!!)」


なんとか追いつき名前を抱き抱え、とりあえず息を出来る箇所を探す


「(っ!あそこだ!あそこしかねえ!)」


コナンに合図をし、そこに上がる為必死に岩の隙間に手を掛けた。


「っぷはっ!!おい!ボウズ大丈夫か?!」

「っあぁ!!俺が先にあがる!流されんじゃねえぞ!」

「ッバーロー!そんな弱くねぇよ!とりあえず名前を頼む!」

快斗は先に上がったコナンに名前を渡し、快斗もなんとか地面に這いあがった。


「っはぁっ…はぁっ…名前っ!大丈夫か?!」


意識が戻らない名前に快斗は必死に声をかけ、心臓マッサージをし始める。


「くそっ!名前!!名前!!」

「らしくねえぞキッド!落ち着け!」

「くそっ!!」

心臓マッサージを続けていると、名前は口から海水を吐きだした。


「ゲホッ…」

「っ名前!」

「まだ意識はねぇが、息はしてる。大丈夫だ。」

「よかった…。おいボウズ、蘭たちは大丈夫なのか?」

「さっき入ってた時、寒いって言ってたから今頃あがってるはずだ。俺たちを探してるかもしんねぇけどな。」

「ならよかった…それより酸素が薄いな。何も持ってきてねえからやべぇぞ」


コナンも快斗も何もかもを置いてきているため、連絡を取る手段が何もない。
どうしようかと悩みあたりを見回すコナンは、ある場所を見て快斗を呼んだ。


「おい、キッド」

「あ?」


コナンが水の流れを見ると、快斗はコナンの思っていることがわかり頷く。

2人はにやりと笑い、その場を立った。


すぐ左側は奇跡的に入口付近だ。
右の方からは岩の間から水が息苦しそうに吹き出している。

そして水の流れは右から左へ物凄い勢いで流れている。


その岩をどけて水の流れを良くし、その勢いで水と一緒に入口に出る考えだった。


「キッドは名前を抱いて出る準備をしとけ」

「いや、俺も行く。そんなチビな体じゃ、岩なんてどけれねーだろ」

「るっせー。行くぞ!」


2人は必死に岩をどけ、徐々に水の勢いが増してきた。


「そろそろ名前の所に行け!」

「ボウズ…!必ず出てこいよ!」

「ったりめーだろ!行け!!」



快斗は戻って名前を抱えた。


「準備いいかキッド!!」

「あぁ!!」

「いっけえええええっ!!!」


コナンは最後の岩をどけると、物凄い音とともに大量の水が吹き出てきた。
その勢いに乗り、名前を抱いた快斗は海に潜り、水の勢いで一緒に外へ出た。


「(名前…っあと少しの我慢だからなっ…!)」


そのまま広い海へ出た快斗は、いち早く名前を砂場へ運び、コナンを探した。


「(ボウズ…っどこだ…っ!?)」

「っぷはっ!キッド!!ここだ!!」


それを見つけた快斗は一安心し、コナンと快斗は名前の元へ駆け寄った。


洞窟の異変に気づいた蘭たちが近くへ来ており、すぐに救急車を呼んでもらい名前を病院へ運んだ。



ーー
ーーー



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