01-5
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そこから予定通りご飯を食べ、買い物をするとあっという間に予告状の時間。
「やばっ、早く行かないと…!」
目的地に近づく程に増えていくキッドファン達。
お祭り状態だ。
キッドは屋上によく行くはず、と
一目散に屋上へかけ登る
「っはぁっはぁっ…きっつ〜!!なんでエレベーター途中までしか行かないの〜?!」
やっと屋上へ着いた時には足はがくがくだった。
もう少し鍛えなければ……
買い物袋を両手に息を切らしていると、最高潮に響くキッドコール
それと同時にどこからともなくキッドが屋上へ現れた。
きたっ……!!
やばい、心の準備ができてない…!
あせって何故か隠れてしまったぁああっ!
「Ladies and gentlemen!!予告状通り、宝石を頂きに参りました」
うわあああキッドだ…!!
キッドが喋ってる…!!
隠れながらドキドキと心臓を鳴らしている。
これは疲れから来る動機ではない。勿論、キッドの生の声を聞いているから。
「こんばんは、お嬢さん♪」
「ひっ…!!!」
ななな?!
この声は……!!
一気に寿命が縮まった気がしたが、とりあえず後ろを振り向いてみよう……
「か、怪盗キッド……!!さん…!」
私が息を整えている間にバレていたのか、話をかけてきたのは月下の奇術師怪盗キッド
自分から会いに来たくせに、驚きが隠せない。
「こんなところで何をしているんですか?貴女のようなか弱い女性が、そんな所にいては危険ですよ」
「ね、寝ちゃってて……」
どんだけ寝てたネタ使ってるんだ私!!
「こんなところでですか…?風邪を引いてしまったら大変ですよ」
ふっと口角を上げた彼に見とれていると、腰に腕が回された。
「えっ…ええっ…?!」
「行きますよ…」
瞬間、私の体が浮いた。
「わあっ!こ、怖い!!怖い怖い!!」
「あまり暴れたら危ないですよ、しっかり私につかまってください」
「は、はいいいい!!」
私キッドに抱かれてる!?
いや、持ち上げられてるの方が正しい。
頭の中がぐちゃぐちゃしていると、あっというまにビルの下に降ろされ、そのままキッドは闇に消えてしまった。
「お姉さん、大丈夫?!」
ドキドキの余韻に浸る間もなく、聞いたことのある声に振り向いた。
見るとメガネをかけている少年。
コナン君だ。
それに、蘭ちゃん、園子ちゃんも……!
「あの、大丈夫ですか?」
「キッド様に降ろされたのね、羨ましい!!」
「あはは……大丈夫です…」
本当は大丈夫じゃないけど。
でもこんな最初からみんなに会うなんて……!
ラッキー!
なんて心の中で思っていると、ちらちらと視界に何かうつる。
どうやら胸ポケットあたりの様だ。
これは!!
バラか!
キッドだ!!
いつのまに…
大切にしなきゃ…!!!
そんな間にコナン君はキッドを追って行ってしまったようで、姿が見えない。
もうキッドの姿が見えないビル周辺は、人が疎らになっていく。
しばらくすると、コナン君も険しい顔で戻ってきた。
きっと心の中では、クソっ!とか言ってるんだろうなぁ。
なんて思っていると、コナン君は私の目の前に立ち、心配そうに見つめられた。
「お姉さん、怪我はなかった?」
「大丈夫、ありがとう…私、帰ります…」
会いたかった人達に一気に会ってしまい、もうわけがわからない
心が追いついてきていません
放心状態なのか興奮状態なのか、何が何だかわからないまま家に帰る事にした。
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