俺の前方で、歩く度にフワフワと真っ白なものが揺れ動く。
たまに大きく前後左右に傾くので目が離せないわけだが、俺はただその後ろを歩き続けている。


草を踏みしめる音や風に吹かれて葉が擦れ合う音、虫や小動物の声が時折聞こえてくる。
木々から差し込む光はこの場を明るく照らし、同時に全てのものを優しく包みこんでいてくれている。










視線はずっと前を見据えていながら、香りや気配を体いっぱいに感じていた。





























「着いたわ」



歩き出してからようやく、こちらに白以外のものが映り込む。
大きな白い帽子を手で添えながら振り向いた彼女は、朗らかな笑顔を浮かべていた。

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