締め切りには何とか間に合った。 編集には頭は下げたくないのだが…くそっ お陰で苦笑いされたじゃあないか! また、溜め息だ。最近吐きっぱなしだな。 自宅のドアを開け、玄関に靴を置いてゆっくりと上がれば… 「お疲れさま。ろはんちゃん」 「ああ…ありがとう……って君!なんて格好をしているんだ!?」 思わず目を疑ってしまった。 目の前に居たのは、昨日あんなにもちんまりとしてそれこそ小学校上がる前くらいの五歳くらいの幼児に近かったのに、今のレイミは腕は伸び、足もスラリと長くなり、顔はしっかりとした顔付きになり、小学校高学年位の身長になり、むっ…胸も成長しているレイミが居るではないか!一体どうなっているんだ!? 「わからないわ…でも、ろはんちゃんが帰ってくるまで家の中を弄ったらいけないと思って…」 「とっ…取り敢えずこれを着ろ!!見ていて恥ずかしい!!」 バサッ!とレイミに投げつけるように渡したのは僕の一張羅に近い服。早く着てくれ!と心の中で想いながらレイミを凝視しないように後ろを向いた。 「ありがとう。ろはんちゃん!…でも少し大きすぎるかな…」 レイミがだんだんと彼女に似ていく懐かしさに胸を引き締められながら僕はレイミの着替えを待つ。 ああ、忘れていたあの日を少しだけ思い出す。 やめてくれ、僕の脳内ではそう言う言葉が繰り返し繰り返し響く。 「着替え終わったよ。ろはんちゃん。暖かいなあ…ろはんちゃんの匂い」 振り返れば喜ぶレイミの姿。彼女と一緒に居られる…安心に似た感情が、僕の心を動かす。 でもどこか、不安だった。もしかすればレイミは杉元鈴美の姿に近づけば、僕の側から消えてしまうのではないかと。 |