岸辺露伴は触れない04 | ナノ



「ん…?今日は何曜日だ?」

ふと壁に立て掛けてあるカレンダーを見てみる。今日は土曜日…しまった。

今日は康一君が来る日だ…!

ヤバいぞ…レイミの事を話していない
絶対疑われる…!

「あうう〜?」

何も知らない彼女は僕の手をギュッと握りぶんぶん振っていた。


ピンポーン。
呼び鈴が鳴り、聞き覚えのある声が聞こえてくる。

「露伴せんせ―?開けますよー!」

ヤバいヤバいヤバい!
とりあえずレイミを隠さなくては!
しかも見えないところに!

「露伴先生、入りますよ?」

「や…やあ康一君」

「なんだぁ、居るじゃないですか。居るなら返事して下さいよ〜」

「ご…ごめんよ。仕事が詰まっていたものでね…ははは」

「大変なんですね。…あれ?原稿一枚落ちてますよ?拾わないと」

「わああーっ!!!あ…あれは拾わなくて大丈夫だ!!後で拾うからね」


「ペンも落ちてる…先生、大切な仕事道具なんでしょ(~・ω・)?」

「あー…!(しまった!散らかしっぱなしだった)ごほんッ!康一君、今日は良い天気だねぇ。カフェ・ドゥ・マゴにでも行かないかい?」

「晴れ?今日は雨ですよ?先生。本当に大丈夫ですか?いつもより焦ってる気が…」




「あぶぅ…」


「え?」

「ゲッ!!!」

「今赤ん坊の声が…」

康一君は怪しんでいる。
凄く怪しんでいる。

レイミを寝室に隠して、ちゃんと寝室に鍵を掛けて来たよな??僕はちょっと焦った。

「え…先生…まさか」

「今丁度赤ん坊の資料を見ていた最中でね…ビデオを付けっぱなしだったのかなぁ」
うまく誤魔化そうとしたが逆に疑われた。

「資料…?だったら透明の赤ちゃんを参考にすれば良いじゃないですか…なんか隠してません?先生」

康一君はこういうところが鋭いんだから困るんだよな…っ


「いや…何も…?」

「そうですか…」


「あーぶぅ!ぱーぱ!」

「え!?」

いつの間に!?どうやって寝室から出てきたんだ??何で僕の足を掴んでいるんだ!

僕は焦った。それに覚えさせていないはずの「パパ」という単語が出てきたから特に驚いた。

「パパぁ!?露伴先生!いつの間にこんな赤ん坊を!」

「ち…違うんだ!康一君!」

「何が違うんですか!まさか鈴美さんと…!?」


「ヘブンズドアー!!!」


思わず僕は康一君にヘブンズドアーをかけてしまった。一応口封じ?は出来たが…
康一君にだけは真実を離そうと決めた。

「解除…と」


…………

「拾ったぁ?!」

「ああ。玄関のとこに居たのでな。仕方ないから僕が育ててる。いつかは警察に届けるつもりさ。…いつかはな…」

「おかしな話ですね。捨てたなら母親か誰かが探しに来るのに…」

「…この子は不思議な能力を持ってるんだ…スタンド使いじゃあない」

「え?」


康一君に全てを話すと快く聞いてくれた。
「まさか、とは思うんですけど…鈴美さんの生まれ変わりじゃないですか?」

「生まれ変わり?」


康一君曰く、輪廻転生という言葉があるらしく、成仏した後に魂が帰ってきて別のモノに移り変わるらしい。

この間の夢はきっとそうだ。


「良かったじゃないですか!」

「…そうだな…」

康一君は嬉しそうに言ったが、僕は少し残念だった。杉本鈴美が成仏した。と信じたらもう彼女は帰っては来ない。魂が帰ってきたとしても…レイミは鈴美じゃないからだ…。

「あぶ…」

レイミは寂しそうな目で僕を見た…