夢を見た。 あれは…杉本鈴美か? その隣に…レイミらしき赤ん坊が並んでた。そして鈴美は…レイミを抱き抱えてこちらへ歩いてくる。 辺りは白い靄だけ… 何もない空間に僕と杉本鈴美とレイミが居るだけだった。 「もうすぐよ…露伴ちゃん…待っていてね」 彼女は僕に微笑みながらレイミを抱き寄せていた。そして僕にレイミをそっと渡し、僕の頭を撫でた。 「待っ…」 声が出ない。杉本鈴美の側に行きたい。 鈴美の手に触れたい。抱きしめたい。謝りたい。 やっとの思いで杉本鈴美の側に行けた。 手に触れようとした…でも 触れられない。 「まだ、駄目よ。露伴ちゃん」 そう言って杉本鈴美は靄の中に消えていった。 其処で夢は終わり。 はっと目が覚め、自分が作業机の上で寝ていたことに気づく。腕にはペンの跡が付いていて、原稿を描いている最中にうたた寝をした事を思い出した。 「あ―う…」 レイミの声が聞こえた。 「…っレイミ!?」 慌てて眠気を覚まし、起き上がり、レイミを探した。 お風呂場、トイレ、キッチン、ベランダ…危険なところは全て探した。 だけどレイミは見当たらない。 もしや!と思い、作業場に戻った。するとなんと…机の下でオモチャで遊んでいた。 僕はホッと安心し、レイミを机の下から出してあげた。 「駄目じゃあないか…椅子で潰してしまうところだったじゃないか」 初めて怒ってみた。それでもレイミは無邪気に笑うだけ。やれやれ…子育てとはたいへんなもんだ… 。 |