岸辺露伴は触れない03 | ナノ



夢を見た。


あれは…杉本鈴美か?
その隣に…レイミらしき赤ん坊が並んでた。そして鈴美は…レイミを抱き抱えてこちらへ歩いてくる。

辺りは白い靄だけ…
何もない空間に僕と杉本鈴美とレイミが居るだけだった。


「もうすぐよ…露伴ちゃん…待っていてね」

彼女は僕に微笑みながらレイミを抱き寄せていた。そして僕にレイミをそっと渡し、僕の頭を撫でた。

「待っ…」

声が出ない。杉本鈴美の側に行きたい。
鈴美の手に触れたい。抱きしめたい。謝りたい。

やっとの思いで杉本鈴美の側に行けた。

手に触れようとした…でも

触れられない。


「まだ、駄目よ。露伴ちゃん」

そう言って杉本鈴美は靄の中に消えていった。



其処で夢は終わり。

はっと目が覚め、自分が作業机の上で寝ていたことに気づく。腕にはペンの跡が付いていて、原稿を描いている最中にうたた寝をした事を思い出した。


「あ―う…」

レイミの声が聞こえた。

「…っレイミ!?」

慌てて眠気を覚まし、起き上がり、レイミを探した。
お風呂場、トイレ、キッチン、ベランダ…危険なところは全て探した。

だけどレイミは見当たらない。


もしや!と思い、作業場に戻った。するとなんと…机の下でオモチャで遊んでいた。
僕はホッと安心し、レイミを机の下から出してあげた。

「駄目じゃあないか…椅子で潰してしまうところだったじゃないか」


初めて怒ってみた。それでもレイミは無邪気に笑うだけ。やれやれ…子育てとはたいへんなもんだ…