岸辺露伴は触れない | ナノ




鈴本鈴美が成仏してから数ヶ月が経った。
クソッたれ仗助が殺人鬼、吉良吉影と戦って勝ち、この町(杜王町)に"平和"と"誇り"が元に戻った。


「…不思議なものだな…君が居なくなるのは…」


(露伴ちゃん)

今にも聞こえてきそうな透き通った声。
彼女が生きていればきっと僕は彼女に恋をしていただろう。


盆と正月には帰ると言ったが…
まだ梅雨…盆には早すぎる。

「つまらないな」

岸辺露伴はため息をつきながら描き途中の来週分の原稿に手を入れ始めた…


ゴトン!

あと一頁描き終われば原稿が終了。というときに玄関から妙な物音がした。

「…なんだ?また近所のガキんちょがイタズラにでも来たか?それともまた妙なファンか?それとも康一君か?だったらいいがな。今は忙しい。後にしよう」


あと一頁だというのに…
岸辺露伴はまたため息を着いて途中だった原稿に手を入れ始めた。

最後のセリフを入れ終えたあと一息着こうとしたが…先ほどの物音が気になってしまった。

"ゴトン!"

あれはイタズラにしては音が大きい…おかしい。


「仕方がないな…」

岸辺露伴はいつも座っている椅子から立ち上がり玄関の方へ向かった。


そっと玄関の扉を開けてみた。

辺りには雨の音と風が騒ぐ音しか聞こえてこなかった。

ポツリポツリと屋根の滴が玄関の石板に落ちた。

「なんだ…イタズラか…」



扉を閉めて中に戻ろうとした時…

「オギャア」

赤ん坊の鳴き声が響いた。


それはそれは小さくか細い、今にも消えてしまいそうな鳴き声だった。

「何で赤ん坊なんかが僕の家の前に居るんだ!!」

「オギャア!オギャア!」

「さっさと泣き止め!!僕は赤ん坊は苦手なんだよっ!…ったく誰だよ。母親だったら最低だな…」

なんとかあやすことができ、泣き止んでくれた。

すると赤ん坊は僕の腕の中ですやすやと眠り始めた。


「やっと泣き止んだか…全く…」



幼児には興味がないが、透明な赤ちゃんと同じで妙なスタンド使いだと困ると思い、僕はこっそりヘブンズドアーで赤ん坊の記憶を見せてもらった。

「ヘブンズドアー!」