who the hell really are you?(あなたは本当に誰なのですか?)

「ここ……………どこ」
「俺ン家っす」
「え!?」
「や…いやああ!来ないでよっ!」
「あッ!おねえさん!落ち着いてよ!俺、東方仗助!えーっとブドウが丘高校2年っす!おねえさんの名前は回覧板配ってるから知ってるよ!小鳥遊さやさんでしょ!?」

少し落ち着いたので目の前の少年に場所を問うと、自分の家だと自信ありげに答えてくれた。信じられないよ。だけど、私の事や、自分の出身校まで言うような強く力強い感情に感化されてピタリと暴れるのをやめた。

「良かった。落ち着いた?ごめんッス…急に自分のこと言ったりなんかして」

「そんな…私…パニックになってて………ごめんなさい」

パシッと体を折り畳むように土下座をして頭を上げないから私は逆に申し訳なくなって謝った。すると、東方仗助、くんはニパッと子供みたいに笑う。それがなんだか愛らしくて私のなにかが弾けてしまった。良く少女漫画とかにある背景がハートになるあれだ。ビックリした。本当にこんなことってあるんだ…東方くんの優しさは私の心に響く。


「そーだ!おねえさん、体が冷え冷えッスよ?家の風呂入って暖まってってよ」

東方くんがスウっと息を吸って元気な声で言ってきたことにビックリしたのはその発言。
普通のひとはそんなこと言わないから一瞬また疑ってしまった。だけど言われたとおり体が冷えきって少し震えてたから躊躇しつつも入りたいって思ってしまった。

「でも…」
「ほら、こっちこっち!バスタオルはこれ使って。あとシャンプーとリンスは…これでいいッスか?ちょっと臭い強いけど、おふくろのだからよー、多分モノは良いはず」

廊下を渡り、お風呂場はこっちって急かすから仕方なく着いていけばやや広い洋風のバスルームに着いた。そこで鏡付の棚からバスタオルを用意してくれて、ちゃんとシャンプーのことも説明してくれた。丁寧な子だなあ。

「じゃ、ゆっくり入ってくれッス」
「あ、東方く……」

ヒラヒラと手を振り、また居間のほうにパタパタと戻っていく東方くん。それを見てぱちくりと目を動かし、まあいいかと服を脱ぎ始めた。ブラウスを脱いで肩のところを見ると、あんなことをされたのに全く傷が着いていないことに気付いた。確かに乱暴にされて肩に傷が着いたはずなのに……不思議に思いながらシャワーを使い、他人の家の慣れない風呂に足から入る。チャプンと水が跳ねる音が静かなバスルームに響く。
程よく暖かいお湯が、体に染みた。

ふう、と息を吐くと、身体中の血行が良くなり冷えきった体が暖まるのが分かった。
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