I am such a dying person.

私のこと…覚えてくれて照れてくれると、いいな…


雨の音を聞いたのは何日ぶりだろう。
ここ数日の茹だるような暑さに、すっかりなれてしまったせいか雨風が肌に当たると寒い。
ああ、窓を閉めなきゃ。
雨音が一滴一滴落ちてはベランダで育てているミントの葉っぱに当たる音が何だか愛しく感じてしまう。
年かなあ、なんて口角を少しあげて一人で笑った。

そんな夢を見ていたら、急に明かりは無くなり場面が真っ暗になる。
そして雨の音は止み、今度は雷が鳴る。
ハッと後ろを振り返れば、大きな人影…そして乱暴な身なりで私を呼ぶ。荒く、ロックミュージシャンが曲のラストに叫ぶような声。そして鬼のような顔立ち。

逃げようにも後ろにあったはずのベランダは白い壁になり、
どこにも逃げ場がない。

恐怖で足がすくみ、抵抗もできない。
嗚呼もうだめだー…すると、鬼のような顔立ちの人陰に、灯りが指す。そしてその鬼は影も形も無くなり、消えた。まるで土壇場にヒーローが現れるかのように。
そこに少し幼さが残るような顔つき、学生服を着た少年は言う。「もう平気だ」と

そして暖かい手を私に差し伸べ少年は笑う。


「はっ!!」

目が覚めた。
覚めたと言うよりは強引に目を開けた。
夢の続きが知りたかったが、目を開けた。

「あれ…この部屋…見たこと無い」白い壁紙に、落ち着いた雰囲気の明るさ。そして何より匂いが違った。明らかに自分の家じゃないような何て言うか男性用のポマード…香水のような香りだ。辺りを見回したいが、体がちょっと痛いから起き上がれない。

「お、気が付いたッスか?」

この声は…夢の中に出てきた少年の声。
声を掛けてきた方向に目を向けた。すると学生服を着た、ちょっと時代遅れの髪…だけれどちゃんと手入れしてある髪型の少年が足を組んでベッドの隣に座っていた。
あ………

少年を見て思い出す。
嫌な事を……夢を見る前に起きた出来事を。

「う………っあ……ハー…ハー…」

掛け布団をぎゅうっと握り、体の震えを抑えようと必死に息を整えた。落ち着かせるために血が出てしまったが構わない。唇も噛んだ。すると現実だって気づいてしまった。


「落ち着いたッスか?おねえさん、凄い状況だったンですよ…その…なんスか…言いづらいけど…襲われた……んすか?体が……」
「言わないで!!!」

思わず声を荒げた。
相手がなんと言おうと荒く、息をランダムに吐いた。

「…おねえさん…」

少年は小さい声になった。


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