born to be loved.


ピンポーン。

何故このタイミングでインターホンが鳴る?
私は出たくない。お願い誰か出て。***さんっ……あ
アイツは居ないじゃないか。私を犯して逃げやがった。
何であの人が出てくるの?あんなに酷い事されたのに…早く忘れたいのに…この場所から逃げ出したいのに。

鳴り止まぬ連続で押されるインターホンに苛つきを感じながら重い下半身を引き摺り、声も出ないような乾ききった喉をヒュウッと鳴らしながら徐々に玄関に向かう。それはまるで…自分で言うのも何んだが天国に向かう前の死者に近いかもしれない。苦しみもあり、私、汚されました感も醸している。
そんな薄れる意識の中、玄関のドアノブが開く音がした。
アイツ…閉め忘れていたのか。どこまでも空気の読めない。

「入るッスよー…?」

カチャリとドアが開くと、そこから聞いたことのない声がした。まだ若い…私より年下なのか。
ギシギシ、と女独り暮らしの家の床が鳴る。割りと新しい筈だけどあまり人を家に上がらせたことがないからか、床が鳴る音に不自然さを感じた。

ゆっくり近づいてくる。
これは警察なのかな。だが来るの早すぎないか?まさかあの男が違う奴らを連れてきたんじゃ……!
不安は募り、恐怖に代わる。やっと背もたれを見つけ、落ち着かせようと寄りかかったのに…足に力が入らなくなりズルズルとずれ落ちてしまう。しかもまた息が荒くなる。体が硬直して思うように動かない。ガクガクと震える足の指の爪で床をガリッと削ってしまい血が滲む。だけど痛覚がバカになっているのだろうか痛いという感覚がない

やめて来ないで!

「なっ……!おいアンタ!大丈夫ッスか!?」

ドタバタと忙しない足音がしたので「あ…」とやっと息を吸えた。苦しさは抜けないが、その足音は何だか安心してしまった。何故だかは覚えていない。
意識が薄れる中で今にも閉じそうな瞼をフルフルと震わせながら見たのは黒い服…学生服の少年だった。「こりゃ酷いな…っ」と年相応の低めの声で言われたのと今時珍しい髪型が、印象的だったが、瞼が閉じてしまった為に、曖昧な記憶として覚えた。
そしてそのまま意識は飛んだ。


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