20mann | ナノ


▼ 十人十色

空が鳴る音も
蛙が鳴く音も
川が鳴く音も
鳥が鳴く声も
人が叫ぶ声も


皆 みんな 大嫌いだ



空気が霞む現実も
新しい空気も


みんなみんな大嫌い


どうして私を現実に引っ張り出して戻そうとするの
何故生まれた事を卑下するの
留まる事を蔑んだ目で見て昔話をし初めて昔と現実を重ね合わせて私を笑う


私が何も答えないと私を叩く殴る
そして汚い言葉を投げつけて放られる


みんな眠れば静かになるのに

氷って眠ればいいのに


眠れば静かになるのに



笑う事なんか大嫌いだ

そうやって現実から逃げるから
逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて避ける



「誰かワタシを愛してよ」


「愛してよ……」



「私がアイシテあげましょう」


あの人は急に来た。
何故だか人と違う雰囲気を出して。

不思議と怖くなかった。

「だれ?」


その人はニコリと笑う。
そして私に手を差しのべる。


「ワムウ…?」
暗闇から大きな手を差し伸べたのはワムウだった。生まれたときから私を育ててくれた親代わりのような存在…

カーズに…父親に捨てられそうになったところを必死で守ってくれた。

私の憧れ。

「このワムウがお守り致します…ですからどうか泣かないで」


「………」


また、小さき勇者は私の腕の中で泣く…
小さな小さな細い腕を精一杯伸ばし私に抱き着きながら。

「大丈夫です…だから、どうか笑ってくださいなまえ様」


震える体を抱き締めながら、波紋戦士との戦いに行く決心を胸に強く刻んだ。




(行かないで。
小さな声は彼には届かない……)



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