▼ 白菊、手向け。
彼女の笑顔を守りたかった。
いつまでも側に居たかった。
優しい眼差しにもっと触れたかった。
彼女の柔らかい髪に触れたかった。白く美しい肌を撫でたかった…
「なまえ」
名前を呼んでも返事はない。
心臓の鼓動がない。温かいはずの肌が冷たい。
…死
ああ、彼女は死んだのか
俺のせいで
俺のために…
俺は自分の中の黒さに問う。
「愛するやつが死んで嬉しいか」
黒さは何も答えない。
ただ沈黙して静かに呼吸するだけだった。
なんて我が儘な奴だ。
答えなければ良いと思っている。
別に答えなどしなくても良いと思っている。
お前なんて嫌いだ。
「…なまえ」
そしてまた愛するひとの名前を呼んだ。
返事が無いのは分かっている。
ただ最後まで彼女の優しさに触れたくて
…ー名前を呼んだ。
彼女は白菊の華…
美しく咲いて枯れ果てる…
決して気取らない美しさ、強さ、優しさ…
どうか最後まで俺の側で咲いてくれ。
俺の隣で笑っていて欲しかった…
悲しみも苦しさも楽しさも二人で別けあって最期まで一緒に居てほしかった
「なまえ」
冷たくなった彼女を抱き上げ抱き締めて名前を呼んだ。怒り狂ったからか俺はスタープラチナを使い、高く高く空へ飛んだ。彼女が好きだった空を最期に一緒に見たかったからだ。
あなたは私を、