吉良さん/甘夢
長い髪が美しい…
「気持ち悪いですよ…吉良さん」
肌が綺麗だ…
「ちょッ!」
私の…何番目になるかな…忘れてしまったが、彼女になる予定の、なまえ。 全く素直じゃない子で、人の親切を無視して、傲慢で、欲深くて、大食いで……私の邪魔をいつもする。
「吉良さん…これ以上私に近寄らないで下さい」
「…安心しなさい。私から君に近づくことなんて無くなるさ」
「どういう……」
「そのうち分かるさ」
なまえは眉間に皺を寄せ、明らかに私の発言に不審を抱いているような目で私を見ていた。
「それじゃ」
「…なまえ!」
「なんですか」
「…………」
「寒いんだから早くして下さい」
「……ふふ、なんでもないさ」
「何ですか?怖い」
「風邪を、ひくなよ」
苦笑いを作りながら、でも私の発言になまえはキョトンとして、瞼をぱちくりと動かし、足を止めて固まった。
「バカは風邪引かないんですよ」 「そうかい……まあ、寒いって言うんなら私の家に招待してやっても良いんだがな」
「吉良さんのお宅に?………やめときますよ。私を泊めたらきっと吉良さん嫌がるもん」
なんだろう。このモヤモヤは… 美しい手だけを求めてこの女に近づいたはずなのだが、今すぐ失うのは、怖い。それどころかこの女を失ってしまうのが嫌だと感情が高鳴る。
微かな風に靡くなまえの髪が夜の町明かりに照らされてキラキラと光る。手以外のものを見て、美しいと感じるなんて。私らしくない。
「吉良さん、好きです」
「……なにを、いきなり」
「あ!動揺した!ふふっ…」
その仕草、その表情… 駄目だ。やはり失いたくない。
また、会いましょう。 そう言ってなまえは少し振り返ってまた歩き出した。
ああ、いつか本当の気持ちを伝えたい。 君のことが……、だと
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お待たせしてごめんなさい!
吉良さん側からの目線で書いてみました! イメージ通りになっていたら幸いです。
この度はリクエストありがとうございました!
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