星になるための仮眠 | ナノ



「やーん!襄ちゃん!久しぶり!!元気にしてた??」

「母上、落ち着いて下さい。大丈夫です。元気にしてたから」

久々の我が家に帰宅すると、迎えてくれたのは母、ホリィ。
泣きながらわたしに抱きつき、何度も頭を撫でてくれた。
母の温もりは嬉しいものだ。
ずうっと違う家に居たものだから違う匂いに少しビックリもした。


「襄ちゃん。承太郎遅いわね…どうしちゃったのかしら?」

「心配ないよ。母上。きっとまだ学校からの帰り道だよ」

「そうよね。大丈夫よね!そうだ襄ちゃん、今日は焼き魚にしましょ!魚屋さんが珍しい魚をくれたのよ」

そうだね。なんて呟いて、母上の不安を取り除く。
なんだろう。凄い胸焼け……今にも吐きそう。
あー…夜に何食べたっけ?
母上が作ってくれた焼き魚?いやいや違う。
なんだったかな……違うぞ?この吐き気は不安な時に起きるやつだ。

まあいいや。
水でも飲んで落ち着こう。
そう言えば承兄さんが「牛乳が良いぞ。胃に優しいからな」って言っていたっけ…やっぱり牛乳にしよう。

私は重いからだを頑張って持ち上げて広くて長い廊下を渡り、大きすぎるキッチンへと向かった。

「あら?襄ちゃん。何処へ行くの?」

「んー?水飲みに行く」

ジリリリリリっ
居間の方から我が家の黒電話が鳴り響く。
「はーい」と元気よく答える母上。
私は嫌な予感を水と一緒に飲み込み、居間に戻ろうとした。


「襄ちゃああん!大変よお!!」

母上の声にビックリして振り替えれば母上の目に涙が溜まっていた。微かに震える声に、私は察した。

「承太郎が…っ!承太郎がぁ!」

母上は私にすがり付き泣きながら承兄さんの名前を呼んだ。





-------------- そして本編へ




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