「ここで予言をしてやる。まずはアヴドゥル…」
「きさまはきさま自信のスタンド能力で滅びるだろう」
「アヴドゥル……」
「承太郎…手を出さなくていいぞ…」
アヴドゥルに焦りの色は見られなかった。
真剣な表情をしてこれだけ広い場所なら思う存分「スタンド」が操れると余裕も見せた。
そう言っているうちに『銀の戦車』はアヴドゥルの『魔術師の赤』に襲いかかった。
その「突き」はどんどん早くなり、アヴドゥルを追い込んで行く。『魔術師の赤』そっくりな銅像まで造り、ひたすらに本人の心を煽ってもくる。
だけど、アヴドゥルは冷静だった。何か必殺技のようなものでもあるように。
「ム!来るな…本気で能力を出すか…面白い…受けてたってやる!」
アヴドゥルが何かを出すらしく、ジョセ爺が私たちに岩影に隠れるように指示をした。何でもとばっちりでヤケドするかもしれない、と。
「クロスファイヤーー!ハリケーン!」
「うわっ!!あっつ!」
アヴドゥルが放ったのは高温の炎。
赤く、煌めく美しい炎だった。
だけど、『銀の戦車』の剣さばきには勝てていないように見えた。むしろ負けているような。しかも全部避けられている。
「ふはは。予言通りだな。自分の炎で焼かれて死ぬのだアヴドゥル…」
「アヴドゥルッ!!」
最後の足掻きのようにアヴドゥルが『魔術師の赤』を出し、『銀の戦車』に襲いかかった。だけどやはりそれは効かず、弾かれたかのように見えたがアイツが切ったのはダミー。そう、人形だったのだ。そしてアヴドゥルが作り出したダミーはそのスタンドを炎で包んだ
アヴドゥルは余裕の表情で再びスタンドを『銀の戦車』へ向けて放つ。
「自分のスタンドの能力にやられたのはお前のほうだったな!クロスファイヤーハリケーンを改めて……くらえッ!」
「やった!」
私は思わず声を荒げ、表情を緩めた。
「占い師の私に予言で闘おうなどとは10年は早いんじゃあないかな」
やはりアヴドゥルは強い。
突如現れたスタンドに対しても余裕で勝つなんて。
「アヴドゥルの「クロスファイヤーハリケーン」恐るべき威力!まともに食らったやつのスタンドはバラバラでしかも溶解してもう終わりだ…」
「ひでーヤケドだ。こいつは死んだな。運が良くて重症だな…いや運が悪けりゃかな…」
「どっちみち…3ヶ月は立ち上がれんだろ…スタンドもズタボロで戦闘は不可能!」
確かに焦げ臭い臭いと、肉が焼けるような臭いとが混じりあったそいつは、階段の上で倒れている。だけど…だけどなんか違う気がした。こいつ、死んでない気がする。
さあ、先を急ごうと、俺らは歩き始き始めた瞬間。
『ボッショオ』『ボン!ボン!ボン!』
「な…なんだ…やつのスタンドがバラバラに分解したぞ!」
「し…しんじられん」
「やつが寝たままの姿勢で空を飛んだッ!」
スタンドまで焼かれて、もう死んでしまう状況に近いそいつが、立ち上がったのだ。
「ブラボー!おお…ブラボー!」
信じられないことに、こいつはアヴドゥルの炎を受けてピンピンしていた。それどころか軽傷だったのだ。しかも奇妙なことに宙に浮いているではないか。
良く見れば、スタンドがヤツを持ち上げていた。
そしてそのスタンド、形が変わっている。
「甲冑をはずしたスタンド「銀の戦車」!」
こいつは驚いた。
なんとさっき焼けたように見えたのは甲冑の部分だったのだ。そしてそれを脱ぐことによって自らの身を焦がすのを防いだのだ。こいつ、やるな。
しかもその甲冑を脱ぎ捨てた分、身軽になったのだという。
裸に近い状態のやつに、勝ち目はないはず。だけどやつはアヴドゥルを挑発し、余裕を見せたのだ。
「君にとても「ゾッ」とすることをおみせするからだ」
アヴドゥルが「ほうどうぞ」と返事をするや否や
「ポルナレフ」は自らのスタンドをズラリと分身させた。
スタンドは一体のはず!まるで忍者が分身の術でも使ったかのようにだ。
「こんどの剣さばきはどうだァアアアアーーッ!?」
「クロスファイヤーハリケーン!」
さらに早さが増した「銀の戦車」の攻撃は、アヴドゥルのC・F・Hを交わし、地面に弾き返した。
「アヴドゥルっ…」
「気にしないないでくれ。襄。こんなのはかすり傷だ」
汗一つかかないアヴドゥルに、すこし動揺はしたが、
俺は彼を信じた。なんでもC・F・Hにはバリエーションがあり、複数飛ばせるのだとか。
「C・F・H・S(クロスファイヤーハリケーンスペシャル)交わせるかッー! 」
「くだらん!アヴドゥルッ!」
「だめだ!やつのスタンドらが円陣を組んだ形をとったッ死角がないッ!弾き返されてまた炎を逆にぶつけられるぞッ!」
確かに。大きな炎を放つが、やつはスタンドでガードする気だ。さっきの二の舞だ。どうするんだ!アヴドゥルッ!
「あまいあまいあまいあまいあまいあまいっ前と同様このパワーをそのまま貴様にィーーッ!切断はじきかえしてェェェェェェェ」
「アヴドゥルーーーッ!!!」
やられる!そう思った瞬間。
地面からアヴドゥルの放った「C・F・H・S 」の炎の一部が上がってきた。
「ギャアアーッ」
あっという間に形勢逆転。アヴドゥルの勝ちだ。アヴドゥルはわざと地面に穴を開けたんだ。分かっていたのだ。
やつは再びアヴドゥルの炎を受け、地面に倒れた。
「アヴドゥル…あいつは…」
「襄…アヴドゥルの好きにさせてやってくれ」
やつが地面に倒れたのを見るとアヴドゥルは懐からナイフを取り出してやつの目の前に指してこう言う「炎に焼かれて死ぬのは苦しかろうその短剣で自害するといい」と。
背中を向けて無防備な格好にも関わらずアヴドゥルはやつの方を振り向かなかった。
やつアヴドゥルへナイフを飛ばそうと震える手を振りかざそうとした
だけどナイフをくるりと回転させて自分の喉元へ向けた。
「うぬぼれていた炎なんかに私の剣さばきが負けるはずがないと・・・・」
「おいお前・・・・」
「フフ・・・やはりこのままいさぎよく焼け死ぬとしよう・・・それが君との闘いに敗れた私の君への「能力」への礼儀・・・・自害するのは無礼だな・・・」
「死ぬな!」
「!」
危なかった。
おれはやつがさっき言っていた「騎士道精神」とかのことを思い出した。
その「騎士道精神」とやらが本当ならもしかしてコイツはマジにいさぎよく死ぬつもりなんではないかとそれは困る!DIOのことも聞けなくなるしこんなとこで焼け死んだやつの姿なんて見たくない!
アヴドゥルが手を鳴らし、炎を解いた。
すると兄さんがニヤリと笑った。
「殺すと思ったか?襄・・・・あくまで騎士道とやらの礼を失せぬ奴!しかも私の背後からも探検を投げなかった・・・!DIOからの命令をも超える誇り高き精神!」
「じゃあ・・・」
「殺すのはおしい1なにかわけがあるな・・・・こいつ・・・JOJO!」
「うむ。悪いが支えててくれ襄」
兄さんのセリフに頷いたオレは、こいつの肉の芽を取り除くのに協力した。
「・・・と!これで肉の芽がなくなってにくめないやつになったわけじゃな。ジャンジャン」
「花京院。オメーこーゆーダジャレいうやつってよーっムショーにハラが立ってこねーか!」
ヒヒと笑うジョセ爺に呆れ返りそいうになったが肉の芽が無事に取れたから良しとしよう。
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