「こいつの額には……DIOの肉の芽が埋め込まれていないようたが………!?」
「確かに、あの気持ち悪いやつがない」
舌が裂けて頭が(ちょっと気持ち悪いが)割れている灰の塔の額に肉の芽がない。もし埋め込まれているようなら花京院の時のように触手が出てくるはずだ。
「「灰の塔」はもともと旅行者を事故に見せかけて殺し金品をまきあげている根っからの悪党スタンド。金で雇われ。欲に目がくらんでそこをDIOに利用されたろーよ」
「っと……!ごめん。兄さん…」
「大丈夫か襄」
「変じゃ。さっきから気のせいか機体が傾いて飛行しているぞ…」
ギュギィイイイイン。
急に傾いた機体に体がよろめいて兄さんの肩にぶつかってしまった。ジョセ爺が言うように何だか機体が斜めになっているような気がする。ジョセ爺と兄さんが急いで操縦室へ向かう。
「やはり傾いている…ま…まさか!」
「お客様、どちらへ?この先は操縦室で立ち入り禁止です」
「知っている!」
シュチュワーデスに止められたが、今は緊急時だ。
急いで操縦室に行く。騒がれては困るのでシュチュワーデスは花京院に任せた。
「悪いな。少し退いていて。花京院、お願い」
「ああ、任せてくれ」
「こ…これは…」
操縦室は、酷いものだった。
機長も副機長も…舌を抜かれて白目を剥いていた。
「舌を抜かれている。あのクワガタ野郎、すでにパイロット達を殺していたのか!」
「降下しているぞ…自動操縦装置も破壊されている…この機は墜落するぞ…」
「なんてこと……!?」
「ぶわばばばあはははーーッ!」
「なに!」
「ブワロロロ〜〜〜ベロォォォ」
「わしは事故と旅の中止を暗示する「塔」のカードをもつスタンド!おまえらはDIO様の所へは行けんン!」
「てめぇ……!」
「たとえこの機の墜落から助かったとてエジプトまでは一万キロ!その間!DIO様に忠誠を誓った者共が四六時中きさまらを付け狙うのドァッ!世界中にはお前らの知らん想像を超えた『スタンド』が存在するゥ!」
灰の塔が血だらけで私たちに負け台詞を吐きながら何かを言う。恐ろしい。
「DIO様は『スタンド』をきわめるお方!DIO様はそれらに君臨できる力を持ったお方なのドァ!たどりつけるわけがぬぁ〜〜〜い!きさまらエジプトへは決して行けんのどあああああばばばばばゲロゲロ〜〜〜」
「…またその名前か……」
聞いただけで寒気がする。
なぜそこまでDIOにこだわるのだ?
シュチュワーデスが小さい悲鳴を出して小さく震える。
あんまり驚いていないな。さすがはいつでも事故が起きても対応できる職業だ。昔憧れたことがあったなぁ。
「さすがスチュワーデス。プロ中のプロ…悲鳴をあげないのはうっとーしくなくてよいぜ。そこで頼むがこのじじいがこの機をこれから海上に不時着させる!他の乗客に救命具つけて座席ベルトしめさせな」
「うーむ…プロペラ機なら経験があるんじゃがの…」
「出来そう?ジョセ爺」
「しかし承太郎…これでわしゃ三度目だぞ人生で三回も飛行機で墜落するなんて そんなヤツあるかなぁ」
「えッ」
ジョセ爺ははぐらかしているのか、マジなのか、さらりと怖いことを言った。私たちは不安なのか分からないがちょっと吃驚した。
「2度とテメーとは一緒に乗らねえ」
******
ー香港沖35qに不時着…
prev /
next
BACK