星になるための仮眠 | ナノ



私たちの決意は厚い。
決して諦めないその強さに、私は敬意を表する。
なんとしても母上を助けたい。そして笑顔を取り戻してもとの生活に戻りたい…それだけだ。

飛行機に乗るのは初めてかもしれない。
酔ってしまうと思いきや案外楽で、以外に楽しみを感じた。22:30分に成田空港を出発し、22:35分に東中国海上空、23:35分、バンコク、翌日6:35分アブダビ、8:05分クウェート…そして13:00分、目的地カイロに到着…順調に進みたいところだ。順調に、な。

しかし私たちを待ち受けるのはやはりDIOの力…
出発前に感じた殺気を思い出した。

「は!」

「…ジョセ爺…どうした?」

「見られた。今、DIOにたしかに見られた感触があった」
「ああ」
「…やっぱり」

「気を付けろ…早くも新手のスタンド使いがこの機に乗っているかもしれん」

さっきから妙に静かな機内…おかしい。そこに羽音が響いた。

ブウーン…
なにかが操縦席の方から聞こえて来て、私たちに近づいて来る。普通のひとには見えないらしく、誰も起きない。
羽音に気付いた花京院が目を覚ます。

「な…なんだアレ!!」
 
その羽音はクン!と曲がり座席の影に隠れた。
ハエ…?いや…なんだ!?

「か…かぶと…いや…クワガタ虫だっ!」
「うう…座席の影に隠れたぞ…」
「機内に虫だと?ふつうじゃあないな!」
「ど…どこだ」

乗客は皆、眠りにつき誰一人動こうとしない。
やはりスタンドの仕業か。

「アヴドゥル、スタンドか!」
「は…早くも新手のスタンド使いかッ!」

「ありうる…虫の形をした『スタンド』……」

「兄さん!」

「JOJO!君のあたまのよこにいるぞ!で…でかい!」

兄さんの頭の横にいたのは、でかいクワガタだった。
半端ない大きさの気味の悪いソレはウジュルウジュルと音を立てて何かを口から出していた。

「気持ちわりいな…だがここは俺に任せろ」
「き…気を付けろ…スタンドだとしたら『人の舌を好んで食いちぎる虫のスタンド』使いがいるという話を聞いたことがある」

「『星の白金』!」

早さではスター・プラチナに勝てるやつはいないはず…そう思っていた矢先…ヤツはフッと姿を消し、スター・プラチナの拳をかわしたのだ。

「か…かわしたッ!し…信じられんッ!弾丸をつかむほど素早く正確な動きをするJOJOのスタンド、『スター・プラチナ』の動きより早いッ!」

「やはりスタンドだ。この虫はスタンドだ!!どこだ…どこにいる!?こいつを操る使い手はどこに潜んでいるッ!?こ…攻撃して来るぞ!」

「兄さん!そいつ舌を食い千切る気だッ!防いで!」

そいつは物凄い早さでは口からトゲらしきものを剥き出しにして兄さんに襲いかかる。

兄さんは手のひらを出してそいつの攻撃を交わそうとしたが
、その鋭利な刃先はスター・プラチナの手のひらを貫き兄さんの口めがけて伸びる。

「しまったッ!」

口まで来たが、兄さんは何とか歯でそいつの刃先を食い止めた。だが、口から血が滴り落ちる。まずい。このままでは兄さんは舌を食い千切られてしまう!早く本体を探さなければ!




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