私たちはカフェに場所を移して、話の続きを聞くことにした。ガラス越しに写る私たちは相当の奴等だと思われてるんだろうな、と少し思う。
「おいjojo!貴様話を聞いているのか!!「関係ないね」って風な顔をするんじゃあないッ!」
アヴドゥルの注意する言葉に耳を傾けず椅子を後ろにずらし、大きい態度を見せる兄さん。さすがといったところか。
話は「DIO 」とかいう男に戻る。
なぜジョセ爺がDIOの存在を知り、そいつの行方を追っているのか聞けばいずれ信じるようになる、と。
そう言って見せてくれたのは一台のポラマイドカメラ。
なんのへん鉄もない。
「実はわしにも一年ほど前、おまえのいう悪霊ー…つまり「スタンド」能力がなぜか突然発現している!」
私もちょうどそのくらいからだ。性別を変えられるようになったのは。
「みせよう。わしの「スタンド」はッ!」
するとジョセ爺はカメラを机に置き、空手の瓦でも割るようなポーズをしはじめた。まるでカメラをこれから壊すかのように。
ジョセ爺の手にはいばらのような物が巻き付き、バリ、バリと音を立てていた。
「これじゃあーーーーッ!!」
「ジョセ爺何して…ッ!」
何をするかと思えばいきなりカメラを空手チョップでいきおい良く壊したのだ。信じられないかもしれないが、これがジョセ爺のスタンド能力を発動させるスイッチみたいなものらしい。
壊れたカメラから出てきたのは1枚の写真。
「見たか?手から出たいばらを!これがわしの「スタンド」!能力は遠い地の像をフィルムに写す「念写」!ぶっ叩いていちいち三万もするカメラをぶっ壊さなくちゃならんがなッ!」
「だが!これからこのポラマイドフィルムに浮き出てくる像こそ!承太郎!襄!」
「!?」
「おまえらの運命を決定づけるのだッ!」
「なんだと?」
ジョセ爺の「念写」によって写し出された1枚の写真。
徐々に浮き出てくるのは何なのか…ッ
手汗が止まらない。マジな話らしい。
「承太郎、ホリィ、襄。おまえたちは自分の首の後ろを良く見たことがあるか?」
首の後ろ?
あまり見ないから分からないが、何かあるのか?
「わしの首の背中の付け根には星のアザがある」
「はッ!」
母上にも、兄さんにも、確かにそれはあった。
私も急いで首の付け根を見た。
やはり、ある。
「だからなんの話かと聞いているんだ」
察しのよい兄さんは立ち上がり、ジョセ爺に指を指し話の続きを求めていた。私も、気になって仕方がない。なんなんだ。さっきからこの雰囲気は!
分かることは、どうやらジョースター家には皆
この星のアザかあることだけ。
いったいそのフィルムには何が写っているの?
「今まで気にもとめてなかったこのアザがわしらの運命なのじゃ」
「何が写っているのか見せやがれッ!」
兄さんがジョセ爺の手から取り上げた写真に写っていたのは一人の男ーー…!金髪で、色の白い、首には私たち一族にしかでないはずの星のアザ。だけど母上からこんな一族の話聞いたことない。そしてそいつはまるで首を繋げたような首のキズがある。
「DIO!わしの「念写」にはいつもこいつだけが写る!そしてやつの首のうしろにあるのは!」
「このくそったれ野郎の首から下はわしの祖父ジョナサン・ジョースターの肉体を乗っ取ったものなのじゃあああーーああ!!」
「!!!!!」
目が見開く。衝撃が走る。
寒気が止まらない。さぶいぼが粟田つのが分かった。
ガリガリ、と親指の爪を噛んだ。恐ろしくて。
「なんて…こと」
ジョセ爺の話によれば百年前、エリナおばあ様…ジョースター家の始まりのような存在の人の話だと、そのDIOとかいう奴はジョナサン・ジョースターの肉体を奪い、生き延びた。
そして、この世界中のどこかに潜んで何かを策している!
「やつが甦って四年。わしの「念写」もおまえの「悪霊」もここ一年以内に発現している事実……おそらくDIOが原因!」
「…われわれの能力は世間で言ういわゆる超能力…おれのはもって生まれた『スタンド』だが、あなたたちの能力はDIOの肉体、つまりジョナサンの肉体と見えない糸で結ばれている」
アヴドゥル曰はDIOの存在が私たちのねむれる能力を呼び覚ました、と…
厄介なことだ。
ようはそのDIOを倒せ、とのことだろう?
やれやれ、難しいことばかりだ。やっと三人で暮らせると思ったのに。
ジョセ爺は暫く私たちの家に厄介になることにした。
「兄さん、仕方ないね。これが私たちの運命だし」
「ああ…」
兄さんは何回か首の後ろの星のアザを撫でて、考え込んでいた。
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