空想世界の逃走劇 | ナノ




初めて血を見たのは、10の時。

ガラスで自分で手を切った。


赤く、たらりと垂れる血は…鉄の匂いがした。私は自分の血を見て喜んだりするタイプじゃない。

ただ、流れる己の血が…見たかっただけ。それだけ。



嫌な夢を見て
目が覚めたのは午前3時…。またこの時間
カーテンの向こうはまだ暗い…。
体質の所為なのか、朝日を見るのは苦手で……父曰くは「太陽アレルギー」らしい。
別に湿疹は出ない。



"私はなんで生まれてきたの"

私は血の滲む包帯を見て何度も何度も自分に問いかけた。

"………"

吐き気がする。
洗面所に走り、胃の中のものを吐き出したいのに……昨日の朝から何も食べていない所為で吐き出すのは胃酸ばかり。
逆に気持ち悪い。


キッチンに行き、水をコップに注ぎ、水を一杯飲んだ。

すると不思議と胃の中の気持ち悪さはスッと消える。


血の滲む包帯を再び見た。

シュルリと包帯を解き、 傷を見た。

ああ、また、だ

あんなに深く傷を付けたのに…癒えている。どうしてだろう


私は再びベッドに戻り、眠りに就いた。











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