空想世界の逃走劇 | ナノ



「あああ嗚呼あアああ−〜ーー!!!」
「まずいっ!「暴走体β」が暴れる!抑えろ!」

「ジョルジオッ!」  
「フハハハハッ!何故私を攻撃しない?怖いのか?」
「抑えきれんッ!うわぁっ」

みんなみんな傷つかないようにすればいいんだ。
そう囁くと体が勝手に動いた。
邪魔をしてくる人たちは口を塞ぎ、傷つけようとする人たちは体を縛り…私は私じゃなくなるように願ってしまった。

「「そうさ…お前には私の血が流れているのだから」」

誰かが囁く。
聞いたことの無い声が耳に流れる。誰だかは分からないが、とにかくチロを助けなきゃ…そう願うと体がチロへと動いた。

「チロ………」

大切な大切な私の友達なのに…私のせいで巻き込んだ。
家族だって…私が素直にアイツらに従っていれば傷付かずにすんだかもしれないのに…

「父さん…母さん……」

大切な人達皆を守りたかった。
だから邪魔をする人達を倒したかった…ただそれだけなのに……
私の表情は鬼のように強張り、眉毛はひん曲がったように
カーブを描き、見たことの無いような顔つきになってしまった。

「空条……承太郎………ッ……」
「DIOか・・・」

「貴様の血筋は強いな・・・気に入ったぞ・・・このボディ・・・悪くはないな」
「ふざけるな。またバラバラにされたいのか。その体は俺の孫のものだ」
「フン・・・そう怒るな・・・ジョルノとお前の娘、徐倫が混ざったからか私の「欲」を中和してしまった所為でもうその気にもなれん。日本語で言うと・・・『興が覚めた』というやつか」

「ヤレヤレ・・・お前もとんだ厄介ヤローだぜ」
「貴様孫が出来たから少し柔らかくなったんじゃあないのか?物言いがうるさくないぞ」

「さっさと消えな。孫がお前みたいな目つきの奴だと目障りだ」
「・・・・フン」

・・・・・

目が覚めると、おじいちゃんの胸の中にいた。
おじいちゃんは頬に少しだけカスリ傷を負っていたようだったけれど無事のようだ。
「良かった。無事よジョルノ!」と母さんの声が聞こえる。安堵したその声はいつもの安心する声。「ジョルジオ、ああジョルジオ・・・」父さんが頭を撫でてくれた。手のひらの温もりは本物だ。天国じゃあないね。

「チロは・・・?」
そうだチロはどうなったんだろう。
まさか・・・・・・・

「ミャア」

手のひらに柔らかい毛が当たる。この毛の感触は覚えがある。
チロは生きていた。父さんのスタンドが傷を治してくれたんだ。

「良かった・・・・」
 
チロを抱きしめて頬寄せ合った。
元気よく鳴くから耳が痛いけどそれも生きてる証だ。

「パードレ・・・今日だけは感謝します」
「「感謝しろ」・・・だとさ」

さっき聞こえた声はなんだったのだろうか・・・・
おじいちゃんには言えなくてこっそりと内緒にした。






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