空想世界の逃走劇 | ナノ



おじいちゃんからもらった日本の三毛猫。名前は「チロ」にすることにした。コロコロと笑って、しっぽをピンっと立てるんだ。そして私を見て「にゃあ」と鳴くんだ。
私がチロの頭を優しく撫でればチロはペロペロ手をなめてくれる。

「ジョルジオってばよく笑うようになったね」
「ええ。天使のようです」

父さんと母さんは私のことを大事にしてくれるようになった。3人で朝ごはんを食べる機会も増えた。もちろんチロも一緒だ。チロにごはんをつまみ食いされるけど、怒らない。だって家族だもん。
ああ、こんな日常が、続いてほしい。


「ジョルジオは元気か?」
「ああ、ダディ。おかえり」
「おかえりなさい。承太郎さん」

「……SPW財団は、実験を続行しろと言ってきた…」
「…っそんな!ジョルジオを売れっていうの!?」
「徐倫…落ち着いてください…承太郎さんの言うことをちゃんと聞いてください」

チロの耳がピクリと動いたので何かと思い、父さんたちのほうを見ればおじいちゃんが帰って来たようで、母さんの隣に並んで立っていた。あの帽子は間違いなくおじいちゃんだ。
私はおじいちゃんに「おかえりなさい」を言いたかったが、母さんから「私たちの居るベランダに来ては行けない」と言われていたためにベランダに向かう為に立ち上がろうとするのを止めた。
するとチロが心配そうに私の手を舐めてくれた。
くすぐったかったから「ふふ」と思わず笑ってしまった。そしてまた頭を撫でる。

「DIOの血筋は途絶えさせなければならない。それがSPW財団の言い分だ…ジョルノ君には悪いが」
「絶対にさせない!私はジョースター家の人間よ!信念は貫き通すわ」
「徐倫、その通りです。僕は憎きDIOの血を引く人間です…ですが己の我が子をムザムザ明け渡すような人間にはなりたくはない。僕だってジョースター家の人間だ。黄金の精神は変わらない!」
「……そう言うと思っていた…。俺も同じだぜ。今のSPW財団のやり方には否と言いたい」

「ジョルジオは渡さない」


3人が立ち上がり、何かを言っているように見えたが木漏れ日が強すぎて口の動きが分からなかった。けど重要な話なんだろうなと察した。







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