空想世界の逃走劇 | ナノ



「ジョルジオ、生き物を飼ったことはあるか?」

「生き物……」

承太郎おじいちゃんが小さな子猫を抱えて私に触らせた。ふわりふわりとした毛並みの小さな白い子猫…
寂しそうにこちらを見ては小刻みに震えて…青い瞳は私にそっくりだ。

「飼ったこと…ない…育てる自信が無くて…」

「そうか…ならこの子猫を育てるといい。コイツが大きくなってチロチロと歩き始める頃まで育てろ。そうすればお前は何かに気づく」

自信が無いのに育てろというの?
凄い覚悟が居るよ。私が途中で投げ出さないと思う?


「私が、投げ出したら?」

「ジョルノ君と徐倫との子だ…諦めたりしたらおかしいぜ」

承太郎おじいちゃんはいつものように帽子をクイッと深く被り、小さく笑った。


刺のない言葉は、私には優しく聞こえた。




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