▼
朝食を終え、部屋に戻ろうとした時、
ママが私を呼び止めた。
「ジョルジオ、ここに居て。父さん…
おじいちゃんが来てくれるまで待とう」
「そうですよジョルジオ。もうすぐ着きますからね」
「……」
私は仕方なくその場に留まることにした。
待つことは好きじゃないだけれども
おじいちゃんはどんな人なのかも見ておきたいし。
沈黙だけが続き、嫌な空気…
そんな空気は私は一番嫌い。
私は何か話題が欲しくてママに質問してみた。
「ねえ、おじいちゃんって…どういう人?」
その質問に対して食器を洗うママが手をピタリと止めた。父…ジョルノもコーヒーを飲むのを止めてコーヒーカップをカチャリと受け皿に置いた。
そして父は小さく息を吸い上げ、吐き戻して、私の顔をジイッと見つめてきた。ママも水道を止めて私の横に腰かけてきた。
また空気が、重くなった。
「…空条承太郎……ジョルジオのお祖父様にあたる人物は…僕のパードレ…DIO、ディオ・ブランドーを倒した人物です」
「…ッ…!!?」
「そう…私の父は私達、"ジョジョ"の血筋の宿敵であったDIOを倒した人物…」
「それって……っ」
父、ジョルノと、ママ、徐倫はそれ以上は口を開かなかった。余程聞いてはいけないことを聞いてしまったようで、私の胃は異物感というよりは、吐き気をも要して気持ち悪くなった。息が苦しくなった。
要するに、祖父が祖父を殺した…そうゆうようなものだ。同士討ちよりひどい。まるで昔見た、戦のお話のようだ。
私は、下を向いたまま顔を上げられなかった。
だって、こんな酷い話をすると思わなかったから…ああ、また気持ち悪さがあがってくる。
「…う……」
「ごめんなさい…こんな話、聞きたくなかったでしょう?」
「すみません…ジョルジオ…」
ママが私の背中を擦りながら水の入ったコップを差し出してくれた。
父…ジョルノはママごと私を抱き締めてくれた。
強く、だけど優しい気持ちも込めて…
「………」
また沈黙が流れる。
胃の不快感はママが擦ってくれたお陰と、水を一口飲んだお陰で少し引けた。
もちろん、父が抱き締めてくれたから精神的にも落ち着いたってのもある。
ピンポーン!
胃の不快感が無くなって直ぐに、玄関のチャイムが鳴り、玄関のセキュリティカメラにとある人物が写った。
白い服に、星形の缶バッチが着いた白い帽子…
顔は…その人が大きすぎて見えない。
ママが慌ただしく玄関の方へ向かった。父は私に「大丈夫ですよ」と小さく微笑みかけてママを追って玄関に向かった。
もしかして………
「父さん……!」
耳を疑った。
ママが少し幼さが混じる声で言った。
父さん、ということは…私のお爺ちゃんということ?
急に心臓が踊り出した。
心拍数が上がる。鼓動が高鳴る。
「元気だったか…?徐倫」
「ええ」
「お久し振りです。お義父さま……」
「ああ。元気そうで何よりだ。…その「お義父さま」ってのはやめてくれないか?ジョルノ」
「すみません、承太郎さん」
玄関から聞こえてくる、低く落ち着いた声の人が…私のお爺ちゃん、なんだ。
なんだか懐かしい…なんでだろう。
ママと、父の声が落ち着いた口調に戻り、とても楽しそうな会話が聞こえてきた。
「お爺ちゃん……」